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「贔屓目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

贔屓目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
安井夫人」より 著者:森鴎外
もただ一つの黒い瞳をきらつかせて物を言う顔を見れば、立派な男に見える。これは親の贔屓目《ひいきめ》ばかりではあるまい。どうぞあれが人物を識った女をよめにもらって....
坑夫」より 著者:夏目漱石
のばらばらな魂がふらふら不規則に活動する現状を目撃して、自分を他人扱いに観察した贔屓目《ひいきめ》なしの真相から割り出して考えると、人間ほど的《あて》にならない....
わが町」より 著者:織田作之助
員といえば、よしんば薄給にしろまずまず世間態は良いと、素直に考えることが出来た。贔屓目にも定枝の器量は姉の義枝とそんなにちがいはしなかったが、ずんぐりとして浅黒....
浮動する地価」より 著者:黒島伝治
通っている鼻が、さきをなゝめにツン切られたように天を向いていることだ。――それも贔屓目に見れば愛嬌だった。 彼女の家には、蕨や、いたどりや、秋には松茸が、いく....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
白を連れて撮った写真を送ってくれた。眼尻が少し下って、口をあんとあいたところは、贔屓目にも怜悧な犬ではなかった。然し赤沢君の村は、他に犬も居なかったので、皆に可....
夢の殺人」より 著者:浜尾四郎
代子に対して恋を打ち明けるのに、一番ひけ目を感じていたのは自分の顔であった。どう贔屓目《ひいきめ》に見ても彼を美男とは云えない。非常な醜男《ぶおとこ》ではなかっ....
加護」より 著者:宮本百合子
見れば人並よりは何か違ったよいものを持って生れていたと思われます、それは勿論親の贔屓目《ひいきめ》かも知れませんわ。けれどもたとい贔屓目にしろ、自分が時には頭を....
能とは何か」より 著者:夢野久作
れ聞き慣れ、見よう見真似に過ぎなかったりする。本当に受け継いでいるにしても、親の贔屓目という本能が邪魔をして徹底した教育鍛練が行われ難い。又、子は子で、親の威光....
青年」より 著者:森鴎外
。 純一は日本での en miniature 自然主義運動を回顧して、どんなに贔屓目に見ても、さ程|難有くもないように思った。純一も東京に出て、近く寄って預言....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いしん》を呼び起されつつも、なおその姿の懸絶に動かされないわけにはゆかない。どう贔屓目《ひいきめ》に見ようとしても、黒船の雄姿に比ぶる和船は、巨人と侏儒《こびと....
マダム貞奴」より 著者:長谷川時雨
うまで可憐であろうとは、ほんとに見ぬ人には信じられないほどである。それはわたしの贔屓目《ひいきめ》がそう言わせるのではない。彼地の最高の劇評家にも認められた。ア....
お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
た様子をして一日長火鉢の傍へ、へばり付いて居たりした。 一日一日と立つに連れて贔屓目《ひいきめ》で見て居るお関にも重三の足りないのが目に余って来るので、自分の....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
て小さくてショボショボした眼つき、獅子鼻ではないが似たような鼻、もうこれだけでも贔屓目に見ても、美男であるとはいわれない。その上に口が大変物である。俺は自信のあ....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
を一々仔細に観察するのでありますから、物を公平に観ることが出来るのですが、少しも贔屓目を附けず、「種」の方が全く良種であることに得心が行きました。 もっとも、....
婚期はずれ」より 著者:織田作之助
小学校の教員といえば薄給にしろまずまず世間態は良いと、素直に考えることが出来た。贔屓目にも定枝の器量は姉の義枝とそんなに違いはしなかったが、ずんぐりと浅黒い義枝....