赤む[語句情報] »
赤む
「赤む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
赤むの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「未開な風景」より 著者:宮本百合子
木間越しに見えた。電車の響もごうごうする。公園のペリカンは瘠せて頸の廻りの羽毛が
赤むけになっていた。 ベンチのぐるりと並んだ花壇を抜け、彼等は常緑樹の繁った小....
「獄中記」より 著者:大杉栄
して、それで下駄の緒の心をなうのであった。手があれるだけならまだしも下手をやると
赤むけになる。埃が出る。かなり骨が折れる。それを昼の間十時間くらいやって、その上....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
ら放れもやらずブラ下っているのであった。皮を剥ぎとられた部分は、鶏の肝臓のように
赤むけだった。 杜は気絶をせんばかりに愕いたが、ここでひっくりかえってはと、歯....
「追想」より 著者:宮本百合子
。 暫くして、皆席についてしまってから、水で、無理に顔をこすったおつやさんは、
赤むけになったように痛々しい面を伏せて、入って来た。 その心持を思い、無惨な、....
「時代と人々」より 著者:宮本百合子
父に向ってもって行った情熱のかえす怒濤で娘を洗うのであった。 まるで孵りたての
赤むけ鳩のように、感覚ばかりで激しく未熟な生の戦慄を感じ、粗野な智慧の目醒めにい....
「歳月」より 著者:宮本百合子
のんで待っていた。やがて涙も一緒に水道の水でごしごしこすった顔を因幡の兎のように
赤むけに光らして、しんから切なさそうにそのひとが席へ帰って来たとき、三十二人の全....
「夏の花」より 著者:原民喜
いる銀色の虚無のひろがりの中に、路《みち》があり、川があり、橋があった。そして、
赤むけの膨れ上った屍体がところどころに配置されていた。これは精密|巧緻《こうち》....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
下から 両手を出してもがく妹を捨て 焦げた衣服のきれはしで恥部をおおうこともなく
赤むけの両腕をむねにたらし 火をふくんだ裸足でよろよろと 照り返す瓦礫の沙漠を ....
「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」より 著者:ホーソーンナサニエル
、いいだろう? 重みのかかるところへ、獅子の皮を当てたいんだよ。重みで肩や背中が
赤むけになって、何百年もここに立ってる間には、よけいな痛い目をすることになるから....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
皮を待たず、或は、自然に脱皮するとき迄保たないほど弱くて、風雲にひっぺがされて、
赤むけの脆弱な心情が、こわさの余りえらく強げになってみたり、感情に堪えず神経を太....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
くせさの。……『船松』の横の溝でさむらいが死んでいたのを見たとき、みなが鼻の先を
赤むけにするほど、地べたばかりかいさぐっている。……おれは今いったような訳で、の....