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「赤土〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

赤土の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
水の三日」より 著者:芥川竜之介
くことおびただしい。窓から外を見ると運動場は、処々に水のひいた跡の、じくじくした赤土を残して、まだ、壁土を溶かしたような色をした水が、八月の青空を映しながら、と....
或る女」より 著者:有島武郎
備の整った居心地《いごこち》のいい所だった。窓の前の庭はまだ掘りくり返したままで赤土の上に草も生《は》えていなかったけれども、広い廊下の冷ややかな空気は涼しく病....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
なって飛びかかった。当の二人と二、三人の留男《とめおとこ》とは毬《まり》になって赤土の泥の中をころげ廻った。折重なった人々がようやく二人を引分けた時は、佐藤は何....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
しく、胸のすくような眺めである。民子はいつの間にか来ていて、昨日の雨で洗い流した赤土の上に、二葉三葉銀杏の葉の落ちるのを拾っている。 「民さん、もうきたかい。こ....
親子」より 著者:有島武郎
れ離れにわびしく立っていた。 農場の事務所に達するには、およそ一丁ほどの嶮しい赤土の坂を登らなければならない。ちょうど七十二になる彼の父はそこにかかるとさすが....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
左側の、」 と長火鉢の猫板を圧えて言う。 「樹の根が崩れた、じとじと湿っぽい、赤土の色が蚯蚓でも団ったように見えた、そこにね。」 「ええ」 と梅次は眉を顰め....
薬草取」より 著者:泉鏡花
た。それからは少しずつ次第に流に遠ざかって、田の畦三つばかり横に切れると、今度は赤土の一本道、両側にちらほら松の植わっている処へ出ました。 六月の中ばとはいっ....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
ばかりで、何の景色だか、これは燈が点いても判然分らなかったくらいである。が、庭は赤土に薄日がさして、塔形の高い石燈籠に、苔の真蒼なさびがある。ここに一樹、思うま....
黒百合」より 著者:泉鏡花
の藪の際に、かさこそ、かさこそと響を伝えて、ややありて一面に広々として草まばらな赤土の山の裾へ、残月の影に照らし出されたのは、小さい白い塊である。 その描ける....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
れ、根が茂る。 路はその雑木の中に出つ入りつ、糸を引いて枝折にした形に入る……赤土の隙間なく、凹に蔭ある、樹の下闇の鰭爪の跡、馬は節々通うらしいが、処がら、竜....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
窪なのが一面、青麦に菜を添え、紫雲英を畔に敷いている。……真向うは、この辺一帯に赤土山の兀げた中に、ひとり薄萌黄に包まれた、土佐絵に似た峰である。 と、この一....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
ていた。 風すかしに細く開いた琴柱窓の一つから、森を離れて、松の樹の姿のいい、赤土山の峰が見えて、色が秋の日に白いのに、向越の山の根に、きらきらと一面の姿見の....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
淵を避けるようにして場所をかえるので……ちょうどこの辺がいまその深い淵であった。赤土の広場の松の、あちこちには、人のぶらつくのも見え、谷に臨んで、茣蓙毛氈を敷い....
西航日録」より 著者:井上円了
雨暑気を洗い、やや清涼を覚ゆ。シャンハイ以西ここに至るまでの間、沿海の諸山、みな赤土を現出し、往々石骨を露出し、一つとして樹木の鬱蒼たるものなく、満目荒涼、殺風....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
冬なく、街頭は樹木に乏しく、わずかに檳榔樹くらいを見るのみ。ゆえに、日光ただちに赤土に反射し、人をして日射病を起こさしむるの恐れあり。市外の山麓渓間に入れば、多....