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赤本
「赤本〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
赤本の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
ったまま微《かす》かに動くのが見える。主人はうーん、むにゃむにゃと云いながら例の
赤本を突き飛ばして、黒い腕を皮癬病《ひぜんや》みのようにぼりぼり掻《か》く。その....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
の歿した時、豊村は丁度二十一になっていたのである。 抽斎の好んで読んだ小説は、
赤本、菎蒻本、黄表紙の類であった。想うにその自ら作った『呂后千夫』は黄表紙の体に....
「今日の日本の文化問題」より 著者:宮本百合子
誌業者の利用するところであった。同時に娯楽雑誌という名目で卑猥な内容を中心とする
赤本雑誌が横行した。戦争中あまり人間性を否定された反動として出版物に現われた官能....
「「委員会」のうつりかわり」より 著者:宮本百合子
限が、ずるずると内閣に属す委員会に移され、文化材の合理的割当を口実に、官僚統制、
赤本屋委員会に堕してしまうころから、吉田茂の明るい展望が記者団との会見で語られる....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ど下せど綱は底触れず、頭上の裂罅も一線とほそまり――なんていうのが、地下鉄売りの
赤本にあるよ」 最後に、折竹は淋しそうに笑い、その日の会見はそれまでになった。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ません。その書物というのは、白雲の求むるところのものとは違って、旧来ありきたりの
赤本、黒本、金平本《きんぴらぼん》、黄表紙、洒落本《しゃれぼん》、草双紙、合巻物....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
る人恐縮し切ってちぢくまっているの、可哀想に。あすこでは興亜書房とか云って一方で
赤本出しているのですって。紙は紙やからのおあてがいなのですって。間には(九月から....
「生前身後の事」より 著者:中里介山
当時としては一回一円は却々《なかなか》よい相場であったらしい、大抵新聞小説などは
赤本式に売り飛ばしてしまったらしい、黒岩涙香氏の如きもその探偵小説の版権は無料で....
「『心理試験』を読む」より 著者:平林初之輔
と、江戸川乱歩は、探偵小説を芸術のレベルに引き上げたということになる。何となれば
赤本の探偵小説は従来いくらも日本にだって流布していたからである。 小酒井不木氏....
「書物を愛する道」より 著者:柳田国男
の表紙の画でも書いたような小本なら風雅人の見るもの、その他八文字屋本の横形から、
赤本黄表紙蒟蒻本に至るまで、少しく好きになれば遠方からでも狙いがつけられた。私た....
「春水と三馬」より 著者:桑木厳翼
二つの草双紙絵本がある。一は為永春水の『絵入教訓近道』で、一は式亭蔵書印のある『
赤本智恵鑒』である。何時何処で父が購求したのか、つい聞洩して仕舞ったが、或は祖父....