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赤熱
「赤熱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
赤熱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虚構の春」より 著者:太宰治
ぬらぬら濡れている岩の上を踏みぬめらかし踏みすべり、まっくろぐろの四足獣、のどに
赤熱《しゃくねつ》の鉄火箸《かなひばし》を、五寸も六寸も突き通され、やがて、その....
「新生」より 著者:島崎藤村
た。彼はその好きな色の燈火《あかり》のかげで自分で自分の心を励まそうとした。あの
赤熱《しゃくねつ》の色に燃えてしかも凍り果てる北極の太陽に自己《おのれ》の心胸《....
「小浅間」より 著者:寺田寅彦
た外面が黒く緻密な岩はだを示して、それに深い亀裂の入った麺麭殻型の火山弾もある。
赤熱した岩片が落下して表面は急激に冷えるが内部は急には冷えない、それが徐々に冷え....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
所にあって専心雲竜の二刀を槌《つち》うつところを!
ふいごが鳴る。火がうなる。
赤熱《しゃくねつ》の鉄砂が蛍のように飛び散ると、荘厳《そうごん》神のごとき面《お....
「球体派」より 著者:豊島与志雄
だった。 浅間登山は、夜のうちに麓をたって、まだ薄暗い頃に頂上に着き、闇の中に
赤熱してる噴火口を見、次に日の出を待つ、それが最もよい方法である。私もこの夏そう....
「高千穂に思う」より 著者:豊島与志雄
あがってくる。払暁、東天が白んだばかりで日光はまだささない頃、火口を覗きこめば、
赤熱した熔岩のわきたつのが見られる。 それに比ぶれば、この御鉢火口は、なんとつ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
少し言い出してみると、オットーは軽蔑するような優越的な調子になって、それが彼には
赤熱した鉄で焼かれるような気がしたのである。 そして今、ケリッヒ夫人といっしょ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ら震え上がった。しかしその異常な老人の顔はちょっとひきつったばかりだった。そして
赤熱した鉄が煙を上げてる傷口の中にはいってゆく間、彼は平気なほとんど荘厳な様子で....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
は皆|烙印《らくいん》の跡を持ってるかと思われる。普通の言葉も皆ここでは、獄吏の
赤熱した鉄の下に皺《しわ》を刻まれ焼き固められてるかと思われる。ある言葉はまだ煙....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
化せしむる苛責《かしゃく》である。最初のうちはそれを甘んじて受くることができる。
赤熱した鉄の玉座にすわり、
赤熱した鉄の冠を額にいただき、
赤熱した鉄の王国を甘諾し....
「憑きもの」より 著者:豊島与志雄
した。 登山は夜間にするのが定法とされている。噴火口の底のぐらぐら沸き立ってる
赤熱の熔岩のさまが、昼間はよく分らず、夜明け前の闇中ではよく見えるのである。その....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
。夜のうちに出発して、夜明け前に頂上に着くのが、最もよいとされている。噴火口内の
赤熱が見易いし、なお日の出も見られるからだ。提灯の光りで足元を照らして登ってゆく....
「ふるさとに寄する讃歌」より 著者:坂口安吾
は靄よりも軽い明暗でしかなかった。昆虫の羽の影が、私の身体にあわく映ってゆれた。
赤熱した空気に、草のいきれが澱んでいた。昆虫は飛び去った。そしてその煽りが鋭く私....
「三人の訪問者」より 著者:島崎藤村
明けて午後の三時半には既に日が暮れて了った。あのボオドレエルの詩の中にあるような
赤熱の色に燃えてしかも凍り果てるという太陽は、必ずしも北極の果を想像しない迄も、....
「線香花火」より 著者:中谷宇吉郎
る特有の香がして、盛んに小さい炎を出しながら燃え上がり、しばらくして火薬の部分が
赤熱された鎔融状態の小さい火球となる。その火球はジリジリ小さい音を立てて盛んに沸....