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赤肌
「赤肌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
赤肌の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「永日小品」より 著者:夏目漱石
て来た。始めはところどころがぽくぽく穴のように落ち込んで見えたが、後《のち》には
赤肌《あかはだ》に脱け広がって、見るも気の毒なほどにだらりと垂れていた。彼れは万....
「貧しき人々の群」より 著者:宮本百合子
は、肩を怒らし大股に進んで行ったのである。 けれどもこの驚くべき勇士の決心は、
赤肌をした松の幹の高い所に、二本の青い人間の足がブーラ、ブーラとしているのを見出....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
土の傾斜、ふやけた落葉の堆積のなかから踊り出して来たこの頭の円い菌こそは、松山の
赤肌に嗅がれる体臭を、遺伝的にたっぷりと持ち伝えた、ちゃきちゃきの秋の小伜である....
「かちかち山」より 著者:楠山正雄
ありがたいな。さっそくぬってもらおう。」 こういってたぬきが火ぶくれになって、
赤肌にただれている背中を出しますと、うさぎはその上に唐がらしみそをところかまわず....
「情意の干満」より 著者:豊島与志雄
にはその真理は成り立たない。凡てが誠実の口から発せられる。私の魂は皮膚を剥がれた
赤肌である。私は屡々涙ぐんでいる自分をさえ見出す。こういう時私は、批評家ではない....
「魔都」より 著者:久生十蘭
う。死体を運搬する途中、瓦礫の上を手荒に引摺り廻されたものと見え、顔面はすっかり
赤肌になり、人相が識別出来ぬほどに破壊されているのである。
そのくせ、衣服は埃....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
作り上げたこの市に寺のあるのが彼には一寸おかしかった。)果樹園に取巻かれて、土の
赤肌をポカンと開けて居るポロ競技場もかすかに見える。眼の前の建築群と建築群との狭....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
が、今は熱泉のように毛穴から湯気を立てていた。 行者ものぼらないという鷲ヶ岳の
赤肌へ、武蔵は、抱きついていた。足がかりを捜して、足が岩へかかると、崩れてゆく砂....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
。 そんな日の激流に削られたような切岸が、足利の町屋根から数町東の岩井村の辺で
赤肌をむいていた。そして上には一叢の茂みが見える。――もう二年越しも、きびしい鹿....