赤錆[語句情報] » 赤錆

「赤錆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

赤錆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
悠々荘」より 著者:芥川竜之介
者だよ。」 僕等は芒の穂を出した中を「悠々荘」の後ろへ廻って見た。そこにはもう赤錆のふいた亜鉛葺の納屋が一棟あった。納屋の中にはストオヴが一つ、西洋風の机が一....
気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
条を追い求める様にして、もうひとつの達磨転轍器を切換えた私達は、とうとう臨港線の赤錆た六十五|封度軌条の上へ疾走り出た。 もう風も静まって大分白み掛けた薄闇の....
わが町」より 著者:織田作之助
ん」 しきりに洗いながら、言った。 なるほどそう言えば、その地蔵は水垢で全身赤錆びて、眼鼻立ちなどそれと判別しかねるくらい擦り切れていて、胸のあたりの袈裟の....
カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
ジャックナイフだ。鉄屑の油や細かい粉で散々に穢れているが、刃先の方には血痕らしい赤錆が浮いている。 『残念だがこう穢れていては迚も指紋の検出は出来ん。』 喬介....
紅玉」より 著者:泉鏡花
、汝の手で開いたのか。 侍女 ええ、錠の鍵は、がっちりささっておりましたけれど、赤錆に錆切りまして、圧しますと開きました。くされて落ちたのでございます。塀の外に....
露肆」より 著者:泉鏡花
抓み棄てたが、目鼻立の凜々しい、頬は窶れたが、屈強な壮佼。 渋色の逞しき手に、赤錆ついた大出刃を不器用に引握って、裸体の婦の胴中を切放して燻したような、赤肉と....
六月」より 著者:相馬泰三
子がはめられてある。入口はその格子の一部分で、そこに鉄製の潜戸があって、それには赤錆のした大きな鉄の錠が、いかにも厳かに、さもさも何か「重大事件」といったように....
トロッコ」より 著者:芥川竜之介
うに、重いトロッコを押し始めた。竹藪は何時か雑木林になった。爪先上りの所所には、赤錆の線路も見えない程、落葉のたまっている場所もあった。その路をやっと登り切った....
多神教」より 著者:泉鏡花
蝋燭――化粧道具、紅、白粉。おお、お鉄漿、可厭なにおいじゃ。……別に鉄槌、うむ、赤錆、黒錆、青錆の釘、ぞろぞろと……青い蜘蛛、紅い守宮、黒|蜥蜴の血を塗ったも知....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
嬉しさを包み切れないように満面を莞爾々々さして、「何十年来の溜飲が一時に下った。赤錆だらけの牡蠣殻だらけのボロ船が少しも恐ろしい事アないが、それでも逃がして浦塩....
だしの取り方」より 著者:北大路魯山人
ず切れ味のよい鉋を持つこと。切れ味の悪い鉋ではかつおぶしを削ることはむずかしい。赤錆になったり刃の鈍くなったもので、ゴリゴリとごつく削っていたのでは、かつおぶし....
日本料理の基礎観念」より 著者:北大路魯山人
れましょうか。切れ味のよい鉋でなければ、完全にかつおぶしを削ることはできません。赤錆になったり、刃の鈍くなったもので、ゴリゴリとごつく削っていたのでは、かつおぶ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
引っ籠っているのだ。 たまたま下の洗面所に顔でも洗いにゆくと、目に入るものは、赤錆いろの鉄分の強い坪ばかりの池の水と、萎えきって生色のない八つ手の一、二本であ....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
を誘き寄せるように姿を顕した。狭い河原までが其方に開けて、幾筋かに分れた細い水が赤錆びた小砂の間を蜘蛛手に流れる、こんもり繁った闊葉樹が五、六本、河原を斜に翠蓋....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
茂っているが、胴から下はむき出しになって、黒い岩肌の所々が朱をなすり付けたように赤錆びている。道は其下を通って蔽いかぶさる青葉の中をだらだらと下り込むと、いきな....