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起つ
「起つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
起つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
方の嫗が顔を出して、 「主か。やれもやれも、お達者でござるわや。」 と、ぬいと
起つと、その紅糸の目が動く。 十 来たのが口もあけず、咽喉でもの....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
ふと見まじいものを見たように、目を外らした。 「その絵馬なんですわ、小県さん。」
起つと、坐ると、しかも背中合せでも、狭い堂の中の一つ処で、気勢は通ずる。安達ヶ原....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
こっちが、 (お気を注けなさらないと、) この通り、ト仕方で見せて、だらしなく
起つ拍子に、あの人もずるりと足を取られた音で、あとは黙然、そら解がしたと見える、....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
、家まで送ってやれ。」 命ぜられたる従卒は、お通がみずから促したるまで、恐れて
起つことをだに得せざりしなり。 かくてその日の悲劇は終りつ。 お通は家に帰り....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
優しく使いながら、姿見を少しこごみなりに覗くようにして、化粧をしていた。 境は
起つも坐るも知らず息を詰めたのである。 あわれ、着た衣は雪の下なる薄もみじで、....
「錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
ちょっと、台所の隅へでも、瓶に挿しましょう。 りく そう、見つけて来ましょう。(
起つ。) 撫子 (熟と籠なると手の撫子とを見較ぶ。) りく これじゃいかが。 撫....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
なく、思わず長座をいたしました。何だか帰途に一本松が見たくなりました。」と、機に
起つと、 「わけないぞに、一緒に行こうかに。」 慄悚とした、玉露を飲んで、中気....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
え難き思いがするものの、常よりも快美に進む食事を取りつつひとたび草鞋を踏みしめて
起つならば、自分の四肢は凛として振動するのである。 肉体に勇気が満ちてくれば、....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
いって岡村は片手に洋燈を持って先きに立った。あアそうかと云いつつ、予も跡について
起つ。敢て岡村を軽蔑《けいべつ》して云った訳でもないが、岡村にそう聞取られるかと....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
。 はしたないアイヌだけれど日の本に 生れ合せた幸福を知る 滅び行くアイヌの為に
起つアイヌ 違星北斗の瞳輝く 我はたゞアイヌであると自覚して 正しき道を踏めばよ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
は世界の文明のために出来ない。勝誇った日本の羽翼いまだ十分ならざる内に二度と再び
起つ事の出来ないまでに挫折いて置かねばならんというのは単に露西亜一国のためばかり....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
二十 よしえのいう通り、この小寒いのに、少しばかりの消炭ではやりきれない。灰が
起つので帽子を冠ったまま囲炉裡の傍へゆく。退屈紛れに、このお茶ッピーでもと思って....
「古事記」より 著者:太安万侶
歌でこの事を御子たちにお知らせになりました。その歌は、 サヰ河の方から雲が立ち
起つて、 畝傍《うねび》山の樹の葉が騷いでいる。 風が吹き出しますよ。 畝傍山は....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
。大雪山ここに一頓して忠別岳に連り、その先に化雲岳の臥し、またその先に戸村牛岳|
起つ。戸村牛岳の左に石狩岳樹を帯び、その右に硫黄岳煙を噴く。眼を西に転ずれば、旭....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
左衛門は掛橋にも十五両やった。 掛橋が二階を降りると、やがてそのあとから便所へ
起つ振りをして、治六も降りた。彼はすぐに茶屋を駈け出して、江戸|町《ちょう》の角....