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越年
「越年〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
越年の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虚構の春」より 著者:太宰治
養生、御自愛、願上候。青森県金木町、山形宗太。太宰治先生。末筆ながら、めでたき御
越年、祈居候。」 元旦 「謹賀新年。」「献春。」「あけましておめでとう....
「三四郎」より 著者:夏目漱石
》足らずの目のさきに春を控えた。市《いち》に生きるものは、忙しからんとしている。
越年《おつねん》の計《はかりごと》は貧者の頭《こうべ》に落ちた。演芸会はこのあい....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
た。前年の十一月、十二月中に彼らは給料の前借をして出稼を契約し、その金で辛うじて
越年し、――翌年の春、実際に働いて帰るときに受けとる金というものは、帰郷の旅費に....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
なって、おっぽり出された。内地へ帰れなくなる。彼等は、身寄りのない雪の北海道で「
越年」するために、自分の身体を手鼻位の値で「売らなければならない」――彼等はそれ....
「李陵」より 著者:中島敦
らの鋭鋒《えいほう》には些《いささ》か当たりがたい。それゆえ、李陵とともにここに
越年し、春を待ってから、酒泉《しゅせん》・張掖《ちょうえき》の騎各五千をもって出....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
なりますかな」 「みんな男の方ばかりですか」 「無論です、野郎ばかり五人揃って、
越年《おつねん》をしようというんです」 「女の方もおいでのようですが、あれは、あ....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
十六歳にして、昨年数回の病に罹るも、今日に至ては健にして、且つ本年は初めて牧塲の
越年たるを以て、如何なる事あらんかと一同配慮するも、寒さにも耐えて、氷結の初めよ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
ら小石川の「モミヂ」に泊りこみ、増淵四段と碁をうって大晦日を送るという平穏風流な
越年ぶり。 さて元旦九時半に出動する。このとき呆れたことには、元旦午前というも....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
一の旧家の母屋で十八畳十五畳という部屋ばかりである。戦闘準備なくしては今冬の無事
越年を期しがたいというので、一番でッかいストーブを買ってきて十八畳の部屋へデンと....
「魔味洗心」より 著者:佐藤垢石
半ばから十一月が盛んである。 初冬の候、卵から艀った鮭の子は、生まれたあたりで
越年して、温かい春の水を迎えるのであるが、四月上旬になると、長さ一寸五分ほどに育....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
し候。 初鴉東の方を新枕 小生旧冬より肥後小天(?)と申す温泉に入浴、同所にて
越年いたし候。 かんてらや師走の宿に寐つかれず 酒を呼んで酔はず明けゝり今朝の春....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
》飾りを除り外しているのだった。 嘉永二年、一月十五日。この日、はじめて無事の
越年を祝って、家々の門松、しめ繩を払い、削り掛りを下げる。元日からきょうまでを松....
「寒中滞岳記」より 著者:野中至
富士山巓は木《き》の葉《は》一枚だになき、極めて磽※《こうかく》なる土地なれば、
越年八|月《つき》間《かん》の準備は、すこぶる多端《たたん》なりし、しかも平地に....
「北海道の「俊寛」」より 著者:小林多喜二
」の正月に間に合うように帰つて行く。しかし帰ろうにも、帰れない人達は、北海道で「
越年(おつねん)」しなければならなくなるわけである。冬になると、北海道の奥地にい....
「しんぱくの話」より 著者:小川未明
すりながら、騎士のように朗らかに見られたのであります。 冬でも、この岩穴の中に
越年する、いわつばめがすんでいました。ひらひらと、青い空をかすめて、右に、左に、....