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足どり
「足どり〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
足どりの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「寡婦」より 著者:秋田滋
窓から、この感傷的な少年が、両手を腰のうしろに※して、首をうなだれて、淋しそうな
足どりで歩いている姿を見かけました。少年は時折り立ちどまって眼をあげるのでしたが....
「初雪」より 著者:秋田滋
かい小春日和である。輪を囘して遊んでいる子供を連れたり、男と何やら語らいながら、
足どりもゆるやかに散歩路の砂のうえを歩いてゆく女の姿が、そこにもここにも見えた。....
「或る女」より 著者:有島武郎
も、火がつくばかりに駅夫がせき立てるので、葉子は黙ったまま青年とならんで小刻みな
足どりで、たった一つだけあいている改札口へと急いだ。改札はこの二人《ふたり》の乗....
「或る女」より 著者:有島武郎
かなり酔ったらしい様子で、倉地が女将《おかみ》の案内も待たずにずしんずしんという
足どりではいって来た。葉子と顔を見合わした瞬間には部屋《へや》を間違えたと思った....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
来きらなかった。女の小屋に荒《あば》れこむ勢で立上ると彼れは白昼大道を行くような
足どりで、藪道《やぶみち》をぐんぐん歩いて行った。ふとある疎藪《ぼさ》の所で彼れ....
「星座」より 著者:有島武郎
草履《ぞうり》から素早く眼を転ぜねばならなかった――しめやかながらいそいそ近づく
足どりが入口の障子を隔てた畳の上に聞こえて、やがて障子が開いた。おぬいさんがつき....
「人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ていきました。すると、王子もおつきの人たちもみんな、ひいさまのしなやかな、かるい
足どりをふしぎそうに見ました。 さて、ひいさまは、絹とモスリンの高価な着物をい....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
後にはもう自分自身の道を見出して進んでゆきつつあることに気がつく。 草鞋の軽い
足どりに蹴返さるる落葉の音が四辺の静かさを破ってひっきりなしに続いてゆく。朝露が....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
薄汚れたる背広の背に負い、初冬、枯野の夕日影にて、あかあかと且つ寂しき顔。酔える
足どりにて登場)……落第々々、大落第。(ぶらつく体を杖に突掛くる状、疲切ったる樵....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
り三廻り緋の袴して輪に歩行いた。が、これは鎮守の神巫に似て、しかもなんば、という
足どりで、少なからず威厳を損じた。 群集の思わんほども憚られて、腋の下に衝と冷....
「山吹」より 著者:泉鏡花
縄にて縛められつつ出づ。肩を落し、首を垂れ、屠所に赴くもののごとし。しかも酔える
足どり、よたよたとして先に立ち、山懐の深く窪み入りたる小暗き方に入り来り、さて両....
「妖術」より 著者:泉鏡花
めて、軽く手に提げたのは、しょんぼり濡れたも好いものを、と小唄で澄まして来る。皆
足どりの、忙しそうに見えないのが、水を打った花道で、何となく春らしい。 電車の....
「転機」より 著者:伊藤野枝
眼の前の柚子の木に黄色く色づいた柚子が鈴なりになっている。鶏は丸々と肥って呑気な
足どりで畑の間を歩きまわっている。木立で囲まれてこの青々とした広い菜圃を前にした....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
関門の連絡船を降りる頃から登志子は連れのまき子や安子がいそいそと歩いていく後から重い
足どりでずっと後れて歩いていった。この前年の夏休みに叔母とまき子と三人でここに降....
「北穂天狗の思い出」より 著者:上村松園
葉松や白樺の林の間をぬって進む。思いなしかわざと意地悪く道の端を歩くかのように、
足どりにつれてグラリと揺られる私の身体は、何時も熊笹の生い上った深い山の傾斜の上....