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「足らず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

足らずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
人《ひとり》歩いて行った。三十分汽車に揺《ゆ》られた後《のち》、さらにまた三十分足らず砂埃《すなほこ》りの道を歩かせられるのは勿論永久の苦痛である。苦痛?――い....
路上」より 著者:芥川竜之介
出した。そこでまたさっきの金時計を出して見ると、約束の三時までにはかれこれ三十分足らずも時間があった。彼はちょいと事務所へ寄る事にして、両手を外套《がいとう》の....
高野聖」より 著者:泉鏡花
り今まで歩いて来たその幅《はば》の広いなだらかな方が正《まさ》しく本道、あと二里足らず行けば山になって、それからが峠になるはず。 と見ると、どうしたことかさ、....
弓町より」より 著者:石川啄木
さまに露出した北方植民地の人情は、はなはだしく私の弱い心を傷づけた。 四百トン足らずの襤褸《ぼろ》船に乗って、私は釧路の港を出た。そうして東京に帰ってきた。 ....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
お前はいつでも心にもない言行に、美しい名を与える詐術を用いていた。然しそれに飽き足らず思う時が遂に来ようとしている。まだいくらか誠実が残っていたのはお前に取って....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
隔ることいくばくもない有様であった。いわゆる文化民俗の発達史が跨がっている一万年足らずの間における進歩はもちろん有史以前のそれに比べてははるかに著しいものにちが....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
提灯は、ちょっと土地では幅が利きます。あなたのおためにと思いまして、道はまだ半町足らず、つい一っ走りで、駈け戻りました。これが間違いでございました。」 声も、....
南地心中」より 著者:泉鏡花
「今度は乗るぜ。」 やがて、甲羅を、残らず藻の上へ水から離して踏張った。が、力足らず、乗出した勢が余って、取外ずすと、ずんと沈む。 「や、不可い。」 たちま....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
処は、旧派の花道の引込みさ。」 「三枚目だな、我がお京さんを誰だと思うよ、取るに足らず。すると、まず、どこにも敵の心配はなしか。」 「……ところがある、あるんだ....
星女郎」より 著者:泉鏡花
ブックへ鉛筆で、まず、その最初の眉間割を描いたのがはじまりで。 顔だけでは、飽足らず、線香のような手足を描いて、で、のけぞらした形へ、疵をつける。それも墨だけ....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
言に依て事を論断したるが故にその論の全く事実に反するも無理ならず。あえて咎むるに足らずといえども、これを文字に記して新聞紙上に公にするに至りては、伝えまた伝えて....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
働きを亭主が一所で、鉄瓶が零のあとで、水指が空になり、湯沸が俯向けになって、なお足らず。 大人、威丈高に伸び上って、台所に向い、手を敲いて、 「これよ、水じゃ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
になりました。 可心が、翌日、朝がけに志す、滝谷の妙成寺は、そこからわずか二里足らずですが、間道にかかるという。例の荷はあり、宵の間に荷かつぎを頼んで置いたが....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
立った爪尖まで、全身がはっきり映るまで、)とさしずをされて、さあ……一間半、二間足らず離れたろうか。――牛馬の骨皮を、じとじと踏むような奈落の床を。――裸の姿に....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
った(仏軍の損失は二万五千)。マントア攻囲前の墺軍の損失は二万に達するから、一年足らずの間に墺軍はナポレオンのために十二万を失ったのである。これは当時の墺国とし....