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足る
「足る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
足るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
ものは必ずしもこう言ったことではない。むしろ彼の天才に、――彼の生活を維持するに
足る詩的天才に信頼したために胃袋の一語を忘れたことである。(この章にもやはりクラ....
「路上」より 著者:芥川竜之介
「画は却々《なかなか》うまい。優《ゆう》に初子さんの小説と対峙《たいじ》するに
足るくらいだ。――だから、辰子さん。僕が好《い》い事を教えて上げましょう。これか....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
まず考えて見給え。城山戦死説はしばらく問題外にしても、およそ歴史上の判断を下すに
足るほど、正確な史料などと云うものは、どこにだってありはしないです。誰でもある事....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
顔へじっと注がれるのを感じた。その眼はほとんど処女のように、彼をはにかませるのに
足るものだった。
「はい。歩兵第×聯隊であります。」
「そうか。大元気《おおげん....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
も彼等の罪ばかりではない。
又
民衆の愚を発見するのは必ずしも誇るに
足ることではない。が、我我自身も亦民衆であることを発見するのは兎《と》も角《かく....
「或る女」より 著者:有島武郎
得ずにいた倉地の胸は、数限りもない連想に飾られて、すべての疑惑や不快を一掃するに
足るほどなつかしかった。倉地の胸から触れ慣れた衣《きぬ》ざわりと、強烈な膚のにお....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
に百余円を剰《あま》してけり。これをもってせば欣弥|母子《おやこ》が半年の扶持に
足るべしとて、渠は顰《ひそ》みたりし愁眉《しゅうび》を開けり。 されども欣弥は....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
を浴びせかけた。それは勿論あっと言う間に大砲に跨った水兵の姿をさらってしまうのに
足るものだった。海の中に落ちた水兵は一生懸命に片手を挙げ、何かおお声に叫んでいた....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
眼に映るからだ。嬰児は何処をあてどもなく匍匐する。その姿は既に十分|憐れまれるに
足る。嬰児は屡※過って火に陥る、若しくは水に溺れる。そして僅かにそこから這い出る....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
うな歴史的比較研究によって我々の現代の見解の如何に健全であるか、いかに信頼するに
足るかということを一層痛切に感得することができるであろう。 この研究からまた現....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
のである。 霊界通信なるものは、純真なる媒者の犠牲的行為によってのみ信を措くに
足るものが得らるるのであって、媒者が家庭的であるか否かには、大なる関係がなさそう....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
と一しょに、せわしなく耳へはいって来る。これは勿論私にも、幾分ながら同情を惹くに
足るものには相違なかった。しかし汽車が今|将に隧道の口へさしかかろうとしている事....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
もののみである。たといこれらの発見なしとするも、ファラデーの名声は後世に伝うるに
足るべく、すなわちガス体の液化、摩擦電気、電気鰻の起す電気、水力による発電機、電....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
聞くに止まりたるその趣は、彼の国々が従来|未開国に対するの筆法に徴して想像するに
足るべし。 されば各国公使等の挙動を窺えば、国際の礼儀法式のごとき固より眼中に....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
1 思想信仰の統一。 2 全世界を支配し得る政治力。 3 全人類を生活せしむるに
足る物資の充足。 心と物は「人」に於て渾然一体である。その正しき調和を無視して....