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足を入れる
「足を入れる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
足を入れるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
まっすぐに電車通りを隔てている郁文堂《いくぶんどう》の店へ行った。ところがそこへ
足を入れると、うす暗い店の奥に立って、古本を探していた男が一人、静に彼の方へ向き....
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
川になる、川の面は、呼吸《いき》も吐《つ》かず静まりかえっているように見えるが、
足を入れると、それこそ疾風《はやて》が液体になったように全速力で走っている、流れ....
「八人みさきの話」より 著者:田中貢太郎
はこんな容を人に見られてはと思ったが、一条路で他に避ける処もないので、田の中へ隻
足を入れるようにして、駕籠をやり過ごそうとした。駕寵の垂は巻いてあった。駕籠の中....
「芝刈り」より 著者:寺田寅彦
に世界でいちばん不思議な奇蹟が行なわれていたのである。その証拠には今試みに芝生に
足を入れると、そこからは小さな土色のばったや蛾のようなものが群がって飛び出した。....
「御萩と七種粥」より 著者:河上肇
竹の格子子の附いた丸窓などは、茶室か書院かを想わす日本趣味であった。炬燵も蒲団へ
足を入れると、そこは椅子になっていて、下げた脚の底に行火があった。障子の硝子越し....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
へ来るには来たが、厭《いや》な厭な気持に打たれてしまいました。もう一足もこの家へ
足を入れる気にはなりませんでした。なんらの理窟もなしにこの家が厭で厭でたまらなく....
「茨海小学校」より 著者:宮沢賢治
ます。ニッケル鍍金《めっき》でこんなにぴかぴか光っています。ここの環《わ》の所へ
足を入れるとピチンと環がしまって、もうとれなくなるのです。もちろんこの器械は鎖《....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。 今しも松本平方面へ行商に出かけて、故郷へ帰るのか、そうでなければ伊奈方面へ
足を入れる途中と見える。 その以前、机竜之助は駿河から甲州路への徳間峠《とくま....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
たところが水田《みずた》です。その水田の中へ手をついたものだから、手が没入する、
足を入れると足が没入する、後ろへひっくり返ると背中、前へのめると面《かお》から胸....
「常識」より 著者:豊島与志雄
や文房具などを持っていってやった。そのことを私は思い出したのである。もう花柳界に
足を入れる興味など更になかったが、へんにみますのことは思い出されて、一寸飲みに行....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
まで、エレヴェーターで運ばれて、雨の日の午の、さすがに閑散な広い食堂の、ロビイに
足を入れると、葉巻をくゆらせて、準之助氏が一人、横顔を見せていた。 新子は、そ....
「あなたも私も」より 著者:久生十蘭
と漁師の子供では、話にならない。土用波くらいは平気だが、海いちめんのクラゲでは、
足を入れる気にもなれない。 こんなことなら荻窪の家に居て、牛車で野菜を売りにく....
「仙術修業」より 著者:田中貢太郎
人となって白竜山の麓へ往ったが、山の四方が懸崖絶壁になっていて、その中へは一歩も
足を入れることができなかった。彼は木の実を喫い草の実を拾ってその麓を巡礼した。 ....
「「明治のおもかげ」序にかえて」より 著者:喜多村緑郎
も情歌の作品には情緒|纏綿という連中だったが、茶屋酒どころか、いかがわしい場所へ
足を入れるものは殆ど尠なかった。この点、庵主金升もその主義だった。正に稀らしい寄....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
惨めなものであったに相違ない。 岩が大きくなると水は其下を深く抉って、うっかり
足を入れると掬われる恐がある。こんな時に重い荷を背負って岩から岩に飛び移る長次郎....