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跫音
「跫音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
跫音の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
ゅうに賑やかになって、砂きしみのする引戸を開くとがやがやと廊下に飛びだす子供らの
跫音《あしおと》がうるさく聞こえだした。めいめいが硯《すずり》を洗いに、ながしに....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
あるから、これより門口へかかる……あえて、のろけるにしもあらずだけれども、自分の
跫音は、聞覚えている。 その
跫音が、他の
跫音と共に、澄まして音信れれば、(お帰....
「親子」より 著者:有島武郎
所の方でしていた。冷え切った山の中の秋の夜の静まり返った空気の中を、その人たちの
跫音がだんだん遠ざかって行った。熱心に帳簿のページを繰っている父の姿を見守りなが....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
、前後に揃って、この小路をぞろぞろ通るように思われる……まだその上に、小橋を渡る
跫音が、左右の土塀へ、そこを蹈むように、とろとろと響いて、しかもそれが手に取るよ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
棒に突立ち、 「お方、そりゃ早うせぬかい。」 女房は澄ましたもので、 「美しい
跫音やな、どこの?」と聞く。 「こないだ山田の新町から住替えた、こんの島家の新妓....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
聞けど。 「どうも橋らしい」 もう一度、試みに踏み直して、橋の袂へ乗り返すと、
跫音とともに、忽ち鳴き出す。 (きりきりきり、きりりりりり……) あまり爪尖に....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ャと声が響いた。 「放れ馬だよ、そら前町を、放れ馬だよ、五匹だ。放れ馬だよッ。」
跫音が、ばたばたばた、そんなにも居たかと思う。表通の出入口へ、どっと潮のように馳....
「橋」より 著者:池谷信三郎
の方へ向って歩きだした。 彼女の唇をかすかに漏れてくる吐息とともに、落葉を踏む
跫音のように、…… 君は幸あふれ、 われは、なみだあふる。 6....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
どうも何でござりまして、ええ、廊下を急足にすたすたお通んなすったと申して、成程、
跫音がしなかったなぞと、女は申しますが、それは早や、気のせいでござりましょう。な....
「狂女」より 著者:秋田滋
出来なかったので、ぼんやり肱掛椅子に凭りかかっていた。折しも僕は重々しい律動的な
跫音をきいた。普魯西の軍隊が来たのだ。そして僕は窓から彼等の歩いてゆく姿を眺めて....
「墓」より 著者:秋田滋
くと、まもなく、マランヴェール路の方角にあたって、幽かな灯影が見えた。抜足差足、
跫音を忍ばせて墓石と墓石のあいだを歩いて行き、彼は眼を覆わしめるような冒涜行為を....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
十人十色の癖まで、彼はいちいち承知していた。石ただみのうえをこつこつと歩いて来る
跫音を聴くだけで、もう誰が来たのか、ちゃんと解るようになってしまった。 見なれ....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
不安さに、はじめはただ町や辻をうろついて廻ったが、落穂のないのは知れているのに、
跫音にも、けたたましく驚かさるるのは、草の鶉よりもなお果敢ない。 詮方なさに信....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
食べたそうに懐中に手を入れて、貧乏ゆるぎというのを行る。 処へ入乱れて三四人の
跫音、声高にものを言い合いながら、早足で近いて、江崎の前へ来るとちょっと淀み、 ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
して、勝手の戸に外より鎖を下し、急ぎ門前に立出でて、滑川の方へ行く泰助の後より、
跫音ひそかに跟け行けども、日は傾きて影も射映ねば、少しも心着かざりけり。 泰助....