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「路傍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

路傍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
。たとい君子ではないにもせよ、智的|貪慾《どんよく》を知らない青年はやはり彼には路傍の人だった。彼は彼の友だちに優しい感情を求めなかった。彼の友だちは青年らしい....
十円札」より 著者:芥川竜之介
い。けれども保吉の内生命《ないせいめい》には、――彼の芸術的情熱には畢《つい》に路傍の行人《こうじん》である。その路傍の行人のために自己発展の機会を失うのは、―....
仙人」より 著者:芥川竜之介
しさに、ずぶぬれになって、市《まち》はずれの、人通りのない路を歩いて来る――と、路傍《みちばた》に、小さな廟《びょう》が見えた。折から、降りが、前よりもひどくな....
或る女」より 著者:有島武郎
わずほほえみかけたのであったが、その瞬間|燕返《つばめがえ》しに、見も知りもせぬ路傍の人に与えるような、冷刻な驕慢《きょうまん》な光をそのひとみから射出《いだ》....
或る女」より 著者:有島武郎
か、良人《おっと》の目に快く見えようためなのか。そればかりなのか。お前たちを見る路傍の男たちの目は勘定に入れていないのか。……臆病卑怯《おくびょうひきょう》な偽....
高野聖」より 著者:泉鏡花
からすぐに坂になって上《のぼ》りも急なり、草も両方から生茂《おいしげ》ったのが、路傍《みちばた》のその角《かど》の処にある、それこそ四抱《よかかえ》、そうさな、....
婦系図」より 著者:泉鏡花
寞して、空屋かと思えば、蜘蛛の巣を引くような糸車の音が何家ともなく戸外へ漏れる。路傍に石の古井筒があるが、欠目に青苔の生えた、それにも濡色はなく、ばさばさ燥いで....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
鶸、小雀などと言う、紅だ、青だ、黄色だわ、紫の毛も交って、あの綺麗な小鳥どもが、路傍にはらはらと落ちている。こいつあ、それ、時節が今頃になりますと、よく、この信....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
分らない、雲を落ちた水のような畝った道を、とぼついて、堪らなくなって――辻堂へ、路傍の芒を分けても、手に露もかかりません。いきれの強い残暑のみぎり。 まあ、の....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
わ。 二十 ここに、一つ目と二つ目の浜境、浪間の巌を裾に浸して、路傍に衝と高い、一座|螺のごとき丘がある。 その頂へ、あけ方の目を血走らして、....
黒百合」より 著者:泉鏡花
爾として、 「どうだい、こりゃ吃驚だろう。方々の、祠の扉だの、地蔵堂の羽目だの、路傍の傍示杭だの、気をつけて御覧な、皆この印がつけてあるから。人の知らない、楽書....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
夜泣松だが、土地の名所の一つとして、絵葉書で売るのとは場所が違う。それは港街道の路傍の小山の上に枝ぶりの佳いのを見立てたので。――真の夜泣松は、汽車から来る客た....
親ごころ」より 著者:秋田滋
まった。そうなると、もう誰ひとり雇ってくれる者もなくなった。そこで彼等はやむなく路傍にたたずんで道ゆく人の袖にすがった。旅人の姿をみると、悲しそうな顔をして、情....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
て、氷のごとく冷やかに潔い。人の知った名水で、並木の清水と言うのであるが、これは路傍に自から湧いて流るるのでなく、人が囲った持主があって、清水茶屋と言う茶店が一....
活人形」より 著者:泉鏡花
空に躍って頭を目懸けて曳! と下す。さしったりと身を交せば、狙い外れて発奮を打ち路傍の岩を真二つ。石鉄|戛然火花を散らしぬ。こはかの悪僕八蔵が、泰助に尾し来りて....