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路傍の人
「路傍の人〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
路傍の人の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
。たとい君子ではないにもせよ、智的|貪慾《どんよく》を知らない青年はやはり彼には
路傍の人だった。彼は彼の友だちに優しい感情を求めなかった。彼の友だちは青年らしい....
「或る女」より 著者:有島武郎
わずほほえみかけたのであったが、その瞬間|燕返《つばめがえ》しに、見も知りもせぬ
路傍の人に与えるような、冷刻な驕慢《きょうまん》な光をそのひとみから射出《いだ》....
「或る女」より 著者:有島武郎
わす事も信ずる事もできず、要もない猜疑《さいぎ》と不満とにさえぎられて、見る見る
路傍の人のように遠ざかって行かねばならぬ、――そのおそろしい運命を葉子はことさら....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ばあおい》のご定紋が、ぴかりと金色に輝き渡りました。 ハッとなって、居合わせた
路傍の人の群れがいっせいに土下座、地にひれ伏しました。 「お関所役人つつしんで、....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ざります」 不思議というのほかはない。変死人の素姓身分はどうあろうとも、たとい
路傍の人であろうとも、このとおり屋敷の近くに怪しい死体がころがっているとしたら、....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
が、いかにもきびきびと残酷に、物を破り人を苦しめた事を痛快に感じた。やがて自分は
路傍の人と別れるように、その荒廃の跡を見捨てて去った。水を恐れて連夜眠れなかった....
「雷峯塔物語」より 著者:田中貢太郎
香炉と花瓶を乗せてあった。 白娘子が濃艶な顔をして出てきた。許宣はなんだかもう
路傍の人でないような気がしていたが、その一方では非常にきまりがわるかった。 「よ....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
。一年二年三年と経ち、それから五年過ぎた今日では、八十助にとって鼠谷仙四郎はもう
路傍の人に過ぎなかった。それには外にもう一つの理由があった。というのは、八十助の....
「蛇性の婬 」より 著者:田中貢太郎
香炉と花瓶を乗せてあった。 白娘子が濃艶な顔をして出て来た。許宣はなんだかもう
路傍の人ではないような気がしていたが、その一方では非常にきまりがわるかった。 「....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
いたあとで、気がついたのは、こゝは自分の家だといふこと、自分の家とはこんなもの、
路傍の人情よりはいくらかマシだといふやうなセンチな気持になつた。これが失敗のもと....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
にでも、僕はあなたのために、どんなことでも致したいのです。その代り、このままで、
路傍の人にだけはなって頂きたくないんです。」 中年の男子の、胸の中に鬱積した思....
「英彦山に登る」より 著者:杉田久女
きこえてくる。急に元気が出て歩み出すと、下りてくる若い夫婦者に出逢った。その時の
路傍の人のなつかしさ嬉しさ。お互に笑顔と声をかけあって、直また上下に別れたが、不....
「偽刑事」より 著者:川田功
あった。彼女が其処へ差蒐った時、彼は直ぐ其後へ追付いて居た。此儘黙って過ぎれば只
路傍の人として終って了うのである。併も彼は大なる秘密を握って居る。何とか利用しな....
「鼻に基く殺人」より 著者:小酒井不木
る。その心理で、今回もまた自分はこれを書き残すのだ。 近藤進と自分とはまったく
路傍の人であった。それだのに何で自分が彼を殺す気になったのか、直截に言えば彼の鼻....
「皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
砥沢に行き、翌日何処からか皇海山に登ろうという計画であった。それで原に着くと早速
路傍の人を捉えてはこの道の状況を訊ねた。結果は例のごとく不得要領に終ったが、若い....