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「跳る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

跳るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
クララの出家」より 著者:有島武郎
、姉妹の月は輝くのに、人は輝く喜びを忘れている。雲雀は歌うのに人は歌わない。木は跳るのに人は跳らない。淋しい世の中だ」 また沈黙。 「沈黙は貧しさほどに美しく....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
た舌だ――すぼめ口に吸って、濡々と呂した。 ――こういう時は、南京豆ほどの魔が跳るものと見える。―― パッと消えるようであった、日の光に濃く白かった写真館の....
黒百合」より 著者:泉鏡花
上って、乗着いて、滝太郎に頬摺したが、 「拓さん堪忍して。」 声を残して、魚の跳るがごとく、身を飜して水に沈んだ。遥かにその姿の浮いた折から、荒物屋の媼なんど....
山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
秒 三十秒 あれ見よ下に 小さくあらわれしあの影を ああ彼見事に下りぬ わが胸は跳る いざおりん もちかうる杖の喜び 山足にうつる重心 つばめのごとき身体のひら....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
馬鹿な奴だ。」 主人の様子がおかしいので、勇作は内々用心していると、今宮さんは跳るように飛びあがって、床の間の刀掛に手をかけました。これはあぶないと思って、勇....
草木の暗示から」より 著者:小川未明
遇って、木々の咲く、花を眺め、この若やかな、どんな絵具で描いてみても、この生命の跳る色は出せないような、新緑に見入って、意味深い自然に対して、掬み尽されない慈愛....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
事を述べなくちゃあならん。 遊びをなし、御馳走を喰い酒を飲みあるいは歌を謡い踊を跳るという遊びをするです。それがチベット人は無上の愉快としていつも夏になるとリン....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
思われる。その証拠には近古史談に次のような史詩が掲載されてある。 驚倒す暗中銃丸跳るを、野田城上|笛声寒し、誰か知らん七十二の疑塚、若かず一棺湖底の安きに 最....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ろける。 繋がった貨幣がのた打ち廻る。○鋳型から 飛び出すようにズウカスの金貨の跳るのを見ると、 己の胸はわくわくする。○ 己の欲しい程の物が皆目に見えている。....
道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
びいた祈誓の結着に、たたきひしいでくれようわ。 はためき号び、たちまち悪獣の餌に跳るがごとく突き寄らんとするや、若僧は怪しく叫びて谷に下れる森林の中に身を退り、....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
至る間の山稜を超えて、翠紫を畳む幾重の山のあなたに、岸を噛む怒濤の砕けて白泡空に跳るかと怪まれる長大なる雪の連嶺の姿であった。まともに照りつける日光を受けて純白....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
足を働かすのみだ。毛布と身廻りの品を少し入れた背嚢までが、脊中で生きた物のように跳るのが邪魔で仕方がない。頭の中がカッと熱って気もおのずと荒くなる。拳骨で木の枝....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
辺な間隙を一ぱいにふるわす、チビ公はだまってそれを聞いていると、体内の血が躍々と跳るような気がする。自由豪放な青春の気はその疲れた肉体や、衰えた精神に金蛇銀蛇の....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
に縛られながら、小さな家はおびえる様に身震いする。富士川の瀬を越す舟底の様に床が跳る。それに樫の直ぐ下まで一面の麦畑である。武蔵野固有の文言通り吹けば飛ぶ軽い土....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
て、風さえ強く吹きいで、戸障子の鳴る響すさまじく、怒りたける相模灘の濤声、万馬の跳るがごとく、海村戸を鎖して燈火一つ漏る家もあらず。 片岡家の別墅にては、今日....