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跼
「跼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
跼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
《ゆる》がず。かの狗子白毛にて黒斑《こくはん》、惶々乎《こうこうこ》とし屋壁に踞
跼《きょきょく》し、四肢を側立て、眼を我に挙げ、耳と尾とを動かして訴えてやまず。....
「階段」より 著者:海野十三
うしろへ導いた。いよいよ例のあやしい個所の秘密が曝露するのだ。彼は階段のうしろへ
跼むとリノリュームをいきなりめくってその下から二本の細い電線をつまみ出した。その....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
OAKの空中線鉄塔のあたりから、アナウンサーの声が大きく響いた。 弾薬函の傍に
跼っている兵士の群は、声のする鉄塔を見上げた。鉄塔を五メートルばかり登ったところ....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
建物の二階から、報酬の金貨を投げ与えたのだ。仙太が地上に散らばった金貨を拾おうと
跼んだところを、二階からカンカン寅が消音ピストルを乱射して殺してしまったのだった....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
女は五枚折りの大きな化粧鏡の前で、まず女王の冠を外した。それから腰を下ろすと下に
跼んで長い靴と靴下とをぬぎ始めた。演技がすんで、靴下を脱ぎ、素足になるときほど、....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
《あし》が入っていなかった。つまりズボンだけであった。 小山嬢は、実験台の下に
跼《しゃが》むと、間もなく台の上に大きな靴を持出した。彼女はそれを博士のズボンの....
「奇賊悲願」より 著者:海野十三
込む今宵だった。森をめがけて、すたすた近づいて来る一つの人影。 それがいきなり
跼んだかと思うと、かちッとライターの火が光った。やがて暗闇に、煙草の赤い一つ目が....
「鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
「さあ、皆、僕に注意していてください」 そういったかと思うと、帆村は、その場に
跼んだ。そして
跼んだまま、そろそろと水牛仏の方へ歩きだした。 「この棒に注意!」....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
、アンを呼んだ。 「あたし、ここよ」 うしろで声がした。見ると、アンは、そこに
跼んで、腰の周りについていた綱を、解いているところだった。 「呑気だね、今、そん....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
あれだッ」と兄が叫びました。 「追跡隊はどうしたのだ。――うん、あすこの線路下に
跼っている一隊に尋ねてみよう」 警部さんは汗みどろになっての指揮です。 「オー....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
待って。……あたしを見殺しにしないで下さいよォ、後生だから」 杜は、またそこに
跼んで、棟木の下に隠れている女の手首を改めた。なんだか下は硬そうであるが、とにか....
「古狢」より 著者:泉鏡花
奥だけ幽にともれていて、あとが暗い。一方が洗面所で、傍に大きな石の手水鉢がある、
跼んで手を洗うように出来ていて、筧で谿河の水を引くらしい……しょろ、しょろ、ちゃ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
が、亭主が危い。……古本|漁りに留守の様子は知ってるけれど、鉄壺眼が光っては、と
跼むわ、首を伸ばすわで、幸いあいてる腰窓から窺って、大丈夫。店前へ廻ると、「いい....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
はよく私を江戸趣味の人間であるようにいっているが、決して単なる江戸趣味の小天地に
跼蹐しているものではない。私は日常応接する森羅万象に親しみを感じ、これを愛玩して....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
これを以ても鴎外が論難好きで、シカモその志が決して区々日本の学界や文壇の小蝸殻に
跼蹐しなかったのが証される。 鴎外の博覧強記は誰も知らぬものはないが、学術書だ....