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踰
「踰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
踰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
ている恰好や――そんな一種の物ものしい特徴で、彼らが今から上り三里下り三里の峠を
踰《こ》えて半島の南端の港へ十一里の道をゆく自動車であることが一目で知れるのであ....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
、オイソレと逃げる訳にも参らず、とうとう牛に曳かれて八溝山《やみぞやま》の天険を
踰《こ》え、九尾の狐の化けた那須野《なすの》ヶ|原《はら》まで、テクテクお伴をす....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
置いて、二人は堂にのぼって酒を飲んでいると、夜も二更に及ぶころ、ひとりの男が垣を
踰えて忍び込んで来たが、彼は堂下をぐるぐる廻りして、一つの橙に出逢うごとに、よろ....
「真田幸村」より 著者:菊池寛
。 朝、幸村の物見の者、馳帰って、旗三四十本、人衆二三万許り、国府越より此方へ
踰来り候と告げた。これ伊達政宗の軍兵であった。が、幸村静に、障子に倚りかかったま....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
れど、それでも善くしたもので、所謂決死連の己達と同じように従軍して、山を超え川を
踰え、いざ戦闘となっても負けずに能く戦う――いや更と手際が好いかも知れぬてな。尤....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
徳がただちにその人の本性となってるのではない。孔子が心の欲するところに従うて矩を
踰えずといったごとく、自然のままに行ないしことがただちに徳に適ってるときその人は....
「二つの短い話」より 著者:ケネディパトリック
迄行って来いって云ったのだよ」 プカは、半馬鹿の笛吹きを背負ったまま丘越え、沼
踰え、荒地を駆けて、到頭パトリック山の頂上迄彼をつれて行きました。頂上に着くと、....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
て全を獲る。そこで日々の勤めは否定されねばならない。その最後の一線はどうして踏み
踰えるか。ここで逡巡することは許されない。 その最後の一線を
踰えるには自然の業....
「軽女」より 著者:上村松園
弾じようかと思案した末、内蔵助の私かなる壮行を祝して、 (七尺の屏風も躍らばよも
踰えざらん。綾羅の袂も曳かばなどか絶えざらん) と歌って、絃の音にそれを託した....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ゃ可いんですねえ。」 答うもののあらざるを見て、遠山金之助|堪えかねたか、矩を
踰してずッと入った。 蓬頭垢面、窮鬼のごとき壮佼あり、 「先生!」 と叫んで....
「武士を夷ということの考」より 著者:喜田貞吉
完からしめんとするにありき。しかるに叙述思いのほかに長びき、誌上の掲載すでに年を
踰えたるがうえに、次号以降また他に発表すべき事項の多く堆積するものあれば、本編は....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
り大小三十軒ばかりの村が見えてあります。
私は博士と共にいよいよ雪の山を
踰えて行きますと広い原の入口に門が立ってあります。それは別段軍事上の目的で建てら....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
の感慨なしといえよう。はじめて赤道より南に身をおく人となったのだから。) 赤道を
踰えししるしか南より、吹きくる風のいとも涼しき 二十一日、炎晴。暁窓触目なく、....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ょに滅びにおいでになるように、
惑わし奉った奴は咀われておれ。
ああ。歓楽も度を
踰えてはならぬと云う
戒を、若いもの共は所詮守ることは出来ないのか。
ああ、全能....
「六日月」より 著者:岩本素白
何にも暖かそうな色をして居るので、つい誘われて再び八瀬へ取って返し、其処から山を
踰えて坂本へ下りてしまった。我れながら余りの愚しき勇猛が悔いられて、その夜は心静....