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蹄
「蹄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蹄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
の上にはしばらくの間、行人《こうじん》の跡を絶ったのであろう。沓《くつ》の音も、
蹄《ひづめ》の音も、あるいはまた車の音も、そこからはもう聞えて来ない。風の音、蘆....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
京二十七坊の夜の底から、かまびすしい犬の声を圧してはるかに戞々《かつかつ》たる馬
蹄《ばてい》の音が、風のように空へあがり始めた。……
――....
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
も今更に「じゃぼ」の恐しさを思い知られ、「さてはその蝙蝠《かわほり》の翼、山羊の
蹄、蛇《くちなわ》の鱗《うろこ》を備えしものが、目にこそ見えね、わが耳のほとりに....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
彼はやむを得ず繰返した。するとそこへ村の方から、馬に跨《またが》った騎兵が一人、
蹄《ひづめ》に砂埃《すなほこり》を巻き揚げて来た。
「歩兵!」
騎兵は――近づ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
まあ、災難《さいなん》とお諦《あきら》めなさい。しかし馬の脚は丈夫ですよ。時々|
蹄鉄《ていてつ》を打ちかえれば、どんな山道でも平気ですよ。……」
するともう若....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
スタンフォドのサムエル・ウォリスと云う肺病やみの男に、赤サルビアの葉を二枚に、羊
蹄《ブラッドワアト》の葉を一枚、麦酒《ビイル》にまぜて飲むと、健康を恢復すると云....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
いろり》の根粗朶《ねそだ》がちょろちょろと燃えるのが見えるだけだった。六軒目には
蹄鉄屋《ていてつや》があった。怪しげな煙筒からは風にこきおろされた煙の中にまじっ....
「星座」より 著者:有島武郎
た。霰《あられ》……北国に住み慣れた人は誰でも、この小賢《こざ》かしい冬の先駆の
蹄《ひずめ》の音の淋しさを知っていよう。
白官舎の窓――西洋窓を格子のついた腰....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
せいろめいび》、相貌《そうぼう》秀《ひい》でて尋常《よのつね》ならず。とかくは馬
蹄《ばてい》の塵《ちり》に塗《まみ》れて鞭《べん》を揚《あ》ぐるの輩《はい》にあ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
乗るように、貴女は馬上にひらりと飛ぶと、天か、地か、渺茫たる広野の中をタタタタと
蹄の音響。
蹄を流れて雲が漲る。…… 身を投じた紫玉の助かっていたのは、霊沢....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
様子で、同じように爪さきを刻んでいると、空の鵄が暗号でもしたらしい、一枚びらき馬
蹄形の重い扉が、長閑な小春に、ズンと響くと、がらがらぎいと鎖で開いて、二人を、裡....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
ごとくに笑い、酔える哲学者が大道に演説すれば、素面の男は微笑をうかべて聴き、馬の
蹄は石の鋪道を蹴立てて走っている。それらの中を一人の頑丈な、陰鬱な大男が沈黙と絶....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
穴はここに居る身にもぞッと立った。島野は逡巡して立っている。 折から堤防伝いに
蹄の音、一人|砂烟を立てて、斜に小さく、空を駆けるかと見る見る近づき、懸茶屋の彼....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
な階段を登ると、左に準備室があって、その先きに大きな講堂がある。講堂には大きい馬
蹄形の机があって、その後方に暖炉や黒板があり、壁には図面などが掛かるようになって....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
たちのなかには大好きな恋人のうしろの添え鞍に乗るものもあり、その愉しげな笑い声が
蹄のぱかぱか鳴る音にまじって、しんとした森にこだましたが、それもだんだんかすかに....