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蹲る
「蹲る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蹲るの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒百合」より 著者:泉鏡花
うだな。」といって、さすがの少年が目に暗涙を湛えて、膝下に、うつぎの花に埋もれて
蹲る清い膚と、美しい黒髪とが、わななくのを見た。この一雫が身に染みたら、荒鷲の嘴....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
朦朧と、薄く鼠色に仄めく向うに、石の反橋の欄干に、僧形の墨の法衣、灰色になって、
蹲るか、と視れば欄干に胡坐掻いて唄う。 橋は心覚えのある石橋の巌組である。気が....
「山吹」より 著者:泉鏡花
を、うんと取れ、喝!(財布と一所に懐中に捻じ込みたる頭巾に包み、腰に下げ、改って
蹲る)はッ、静御前様。(咽喉に巻いたる古手拭を伸して、覆面す――さながら猿轡のご....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
どうも、ジツに恐ろしい結末ですなァ……」 すると、まだ「トントン」の屍骸の前へ
蹲るようにして、頻りにその柔かな両足の裏をひねくり廻していた博士が、不意に顔をあ....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
った円命阿闍梨、立出る。) 阿闍梨『これ待て、一同』 (源右衛門、法師等、そこへ
蹲る。) 阿闍梨『様子のほどは、略門内より覗い知った。源右衛門とやら、山科坊より....
「俊寛」より 著者:菊池寛
、決して近寄らない。俊寛は、じれて元の場所へ帰る。すると、少女も元の場所へ帰って
蹲る。そして、時々思い出したように歌いつづける。 その翌日も、俊寛は同じ場所に....
「博物誌」より 著者:岸田国士
ち同類の鳥が巣を作る、至極あつらえ向きの捏土だと思いこんで、ただ本能的にその上に
蹲る。 彼はまだサラダ菜の効能を知らない。で、面白がって引裂くだけだ。 彼が....
「チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
で横になっていよう。また容体がお変りになるまで、そうしていよう。 人々|磴の上に
蹲る。チチアネルロはジヤニイノの髪を弄ぶ。その目半ば閉ず。 バチスタ (半ばは自....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
音がした。しばらくそれが継続した。 「もうよかろう」 「うんよかろう」 二人の
蹲る気勢がした。屋根板を掻き集める音がした。 「だが」と若者の声がした。「俺は燧....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
はやとり
見ろ。金貨が一ぱいだ。
早く取らねえか。
はやえ(
蹲る。)
早くこの前掛にしゃくい込んでおくれよ。
この位持って行けばかなりあるわ....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
文句をつけるのは、何か多少良心に疚しい所業をしているからであろう。彼のいわゆる「
蹲る」ことに対してさんざん毒づいた後に、彼は小ジェリーを連れて銀行へ御出勤になり....
「猫」より 著者:豊島与志雄
た。 小学校に通う子供三人が、円陣を作って遊んでいると、猫はその真中にはいって
蹲る。子供の一人が勉強を初めると、その机の上に坐りこむ。「猫が、お遊びの……勉強....
「C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
光輝が愈々増すにつれて、刻一刻とその陰影を深めて参ります。そして、宛然《まるで》
蹲る大獣のように物凄い黒色が仄明るい空を画ると、漸々その極度の暗黒を破って、生み....