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身から出た錆
「身から出た錆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
身から出た錆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「藁草履」より 著者:島崎藤村
にまといつく主人の子供もさぞ後で尋ね慕うかと思えば愍然《ふびん》なこと、「これも
身から出た錆《さび》、父《とっ》さん堪忍しておくれ、すみより」としてありましたそ....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
又|仮令《たとえ》発表しても、世間の同情がとっくの昔に彼等を離れている。彼等が、
身から出た錆《さび》とはいいながら、一種の侮蔑的の眼で見られていることはよく知っ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
も婚礼にも少なからぬ費用を投じたにかかわらず、四月といられないで出て来た。それも
身から出た錆というような始末だから一層兄夫婦に対して肩身が狭い。自分ばかりでなく....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
って佐助もとめての旅を続けねばならぬ羽目になったとは、まるで嘘から出た真じゃと、
身から出た錆をやがて嘆いた。 女連れでは武者修行もかなわぬのみか、人目には破戒....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
寒さは森々として身に染みる。火の気のない冷たい部屋で長時間続行訊問せられる支倉は
身から出た錆とは云いながら憐である。 「おい、君、早く本当の事を云って終ったらど....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
体の病に、外科と内科があるように、心の病にもまた外科もあり、内科もありましょう。
身から出た錆で衣が赤くなり というのは外科的な病気です。しかし、内面的な心の病....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
でも日蔭者同様の身ではねえ」 「いまさら愚痴《ぐち》を言っても追っつかぬ、みんな
身から出た錆《さび》じゃ」 「でもお前様……」 女は子を抱いたなり男の方へ膝を....
「毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
っかり説明文をよこされよ” すると、金博士が折りかえし返事して曰く、 “醤よ。
身から出た錆という諺を知らぬか。燻精を変質させて送りかえしたのは、お前がわしに、....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
まらぬわけだと、今までの長話も後悔されてきます。しかし、それもお喋りな生れつきの
身から出た錆、私としては早く天王寺西門の出会いにまで漕ぎつけて話を終ってしまいた....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ク……」 わたしは犯罪者であった。そうして、私はそれを自分でも知っていたので、
身から出た錆だと思って自分の不幸に黙って忍従し、また明らかに無鉄砲に厭ってもいた....
「北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
機嫌を損じ、宇都宮の旅宿から不意に追われたその時以来、幾年となくお眼にかからぬ。
身から出た錆でこのありさま。思えば恥ずかしいことではある」 述懐めいた心持ちで....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
風はひとしおさすらいの身に沁み渡り、うたた脾肉の歎に耐えないのであったが、これも
身から出た錆と思えば、落魄の身の誰を怨まん者もなく、南京虫と虱に悩まされ、濁酒と....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
有様。皆|是剣道の師の命令に叛き、女侠客の為に抑留されて、心ならずも堕落していた
身から出た錆。斯う成るのも自業自得と、悔悟の念が犇々と迫った。 台下の農家、取....
「現代茶人批判」より 著者:北大路魯山人
今さらに一句一章を改竄してみたところでどうしようもないようである。 松永氏こそ
身から出た錆とはいえ、図らざる災難である。筆者においても最初からこんなふうに松永....
「女房ども」より 著者:神西清
俺が教えてやった事を聴かないもんだから、今じゃその償いをしなけりゃならん。みんな
身から出た錆だ。誰も怨むでないぞ。』――そんな風に説教をしてやっても、『行って、....