身仕舞[語句情報] »
身仕舞
「身仕舞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
身仕舞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「明暗」より 著者:夏目漱石
車上でふり返った津田は、何にも云わずに細君の顔を見守った。念入《ねんいり》に
身仕舞《みじまい》をした若い女の口から出る刺戟性《しげきせい》に富んだ言葉のため....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
…、煙のような男の影が……」 「のぞいたか!」 「そうざます。お湯からあがって、
身仕舞いしているところへ、あのうす暗い庭さきからふうわりとのぞいて、また向うへ―....
「虎狩」より 著者:中島敦
。)やがて外は、二三人の立去る気配がしたあとはしいんとした静けさにもどった。私は
身仕舞をして、そっと天幕を出て見た。外は思いがけなく真白な月夜だった。そうしてテ....
「理想の女」より 著者:豊島与志雄
々私に反映した。 九時頃に起き上る。もう朝食の用意は出来ている。私は急いで朝の
身仕舞をする。然しそれはごく簡単だ。歯を磨き、顔を洗い、髭を剃り、クリームを顔と....
「女と帽子」より 著者:豊島与志雄
室の方に行ってみた。すると、すぐ後から、今村ものっそりついてきた。 波江はもう
身仕舞いをすましていたが、化粧をしていないその素顔が、びっくりするほど蒼ざめてい....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
で、眼がよく、疲労を知らない活動力を具えていた。六時にはもう起き上がって、細心に
身仕舞をしていた。礼儀に注意し体面を重んじていたからである。家の中に一人で暮して....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の大した努力の骨休めをしなければならなかった。日暮れになりかけても、まだすっかり
身仕舞を済ましていなかった。 ザビーネの仕度《したく》がととのわないうちに、小....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た。 しかしその日はどうしたことか、彼は一人落ち着いてることが許されなかった。
身仕舞いを終わるか終わらないうちに、ふたたび扉をたたく者があった。ただ数人のごく....
「魔都」より 著者:久生十蘭
寄った上衣の裾を引っ張り、櫛を取出して念入りに髪を梳きつけていたが、やがて充分に
身仕舞が終ると、扉口の方へ向って世にも壮重な声で、
「おいおい、誰かいないのか」....
「抱茗荷の説」より 著者:山本禾太郎
のであるが、君子はいつまでもそこを去らなかった。旅芸人が商売道具を小さな車に乗せ
身仕舞いにかかっても君子はなおそこを離れようとしなかった。こうして君子はついにこ....
「かもじの美術家」より 著者:神西清
は、とても親切な女で、ドロシーダという名前だった。 ――そのお婆さんは、夕方の
身仕舞いをしてしまうとね(と、乳母は物語をつづけた――)、自分で新しいカラス麦の....
「仙人掌の花」より 著者:山本禾太郎
と夢の一夜が明けた。 時計を見ると九時であった。 漸く床から出た閑枝は、朝の
身仕舞もものうく、そこの姿見に顔を写して見た。そして蒼白く細い自分の顔に両手を当....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
、忠顕が来ての話では、どうしても、ここは明朝出発するとの布令じゃそうな。女たちも
身仕舞しておけよ」 「ではついに、お望みの皇子(宗良)とのご対面も、かないませぬ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
別れた。たって追いやってしまったのである。宮の牢御所へちかづくには、そしてあとの
身仕舞いにも、いっそ一人がよいと考えたものらしい。 つまりは彼として身を巌頭に....
「はつ恋」より 著者:神西清
て」と、老僕はまたわたしの前に現われて、皿を床から持ち上げながら言った。わたしは
身仕舞を正して、『客間』なるものへ入って行った。 いざ入ってみるとそこは、あま....