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身動ぎ
「身動ぎ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
身動ぎの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
妙はその状を見定めると、何を穿いたか自分も知らずに、スッと格子を開けるが疾いか、
身動ぎに端が解けた、しどけない扱帯の紅。 五十九 「厭よ、主税さん....
「海異記」より 著者:泉鏡花
「お逢いなさいまし、ほほほ、ねえ、お浜、」 と女房は暗い納戸で、母衣蚊帳の前で
身動ぎした。 「おっと、」 奴は縁に飛びついたが、 「ああ、跣足だ姉さん。」 ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
けられたのではないかと思うと、背筋から頭の芯までズウンと痺れてしまって、声も出ず
身動ぎさえ出来なくなりました。すると、背後にそよそよ冷たい風が起って、滑るような....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
様。」 余り尋常な、ものいいだったが、 「は、」と、呼吸をひいて答えた紫玉の、
身動ぎに、帯がキと擦れて鳴ったほど、深く身に響いて聞いたのである。 「癩坊主が、....
「古狢」より 著者:泉鏡花
引掴んで、肩と袖で取縋った。片褄の襦袢が散って、山茶花のようにこぼれた。 この
身動ぎに、七輪の慈姑が転げて、コンと向うへ飛んだ。一個は、こげ目が紫立って、蛙の....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
今|視めている夢であろう。何かの拍子に、その鐘が鳴ると目が覚めよう、と思う内……
身動ぎに、この美女の鬢の後れ毛、さらさらと頬に掛ると、その影やらん薄曇りに、目ぶ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
の手をば私が引く。……さあ、三人で行こうな。」 と床几を離れて、すっくと立つ。
身動ぎに乱るる黒髪。髻ふつ、と真中から二岐に颯となる。半ばを多一に振掛けた、半ば....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
ゆがんだ唇からは、水が虹を立てながら大理石の池へ落ちていた。しかしアウレリウスは
身動ぎもせずにすわっていた。ずっと遠い、石ばかりの荒野の入口で、熾烈の太陽に直射....
「多神教」より 著者:泉鏡花
、(恐る恐る地につけたる額を擡ぐ。お沢。うとうととしたるまま、しなやかに膝をかえ
身動ぎす。長襦袢の浅葱の褄、しっとりと幽に媚めく)それへ、唯今それへ参りまする。....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
たと言いましたのを、まだ許しちゃ下さいませんか、おや、貴下どうなさいましたの。」
身動ぎもせず聞き澄んだ散策子の茫然とした目の前へ、紅白粉の烈しい流が眩い日の光で....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
イと鳴いた。 身近を通った跫音には、心も留めなかった麗人は、鳥の唄も聞えぬか、
身動ぎもしないで、そのまま、じっと。 秋の水は澄み切って、鮎の鰭ほどの曇りもな....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
子粘り気なし、一でなければ六と出る、忿怒の裏の温和さもあくまで強き源太が言葉に、
身動ぎさえせで聞きいし十兵衛、何も云わず畳に食いつき、親方、堪忍して下され口がき....