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「身構え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

身構えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
将軍」より 著者:芥川竜之介
も叩頭《こうとう》を続け出した。「故郷へ別れを告げているのだ。」――田口一等卒は身構えながら、こうその叩頭を解釈した。 叩頭が一通り済んでしまうと、彼等は覚悟....
或る女」より 著者:有島武郎
造り笑いをし合っているような不快な気分に満たされた。葉子は「さあ来い」と胸の中で身構えをしていた。五十川女史のそばにすわって、神経質らしく眉《まゆ》をきらめかす....
或る女」より 著者:有島武郎
して、ひょっこり目の前に木部の姿が現われ出た。葉子はその時はしかしすべてに対する身構えを充分にしてしまっていた。 木部は少しばか丁寧なくらいに倉地に対して帽子....
僕の帽子のお話」より 著者:有島武郎
子を眼がけて飛びついて、それをいじめて白状させてやろうと思いました。僕は高飛びの身構えをしました。 「レデー・オン・ゼ・マーク……ゲッセット……ゴー」 力一杯....
二つの道」より 著者:有島武郎
一つにぶつかることがある。その時そこに安住の地を求めて、前にも後ろにも動くまいと身構える向きもあるようだ。その向きの人は自分の努力に何の価値をも認めていぬ人と言....
星座」より 著者:有島武郎
いまつ》をかざして、その握り方で光力を加減しながら、川の上に半身を乗りだすような身構えで、鰭《ひれ》や尾を水から上に出しながら、真黒に競合《せりあ》って鮭の昇っ....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
雲の如く渦《うず》を巻いた真中に、俵藤太《たわらとうだ》が、弓矢を挟《はさ》んで身構えた暖簾《のれん》が、ただ、男、女と上へ割って、柳湯《やなぎゆ》、と白抜きの....
婦系図」より 著者:泉鏡花
ら、」 とむっくと起きた、早瀬は毛布を飜して、夫人の裾を隠しながら、寝台に屹と身構えたトタンに、 「院長さんが御廻診ですよう!」と看護婦の金切声が物凄く響いた....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
りっ」 というけたたましい声を同時に君は聞いた。そして同時に野獣の敏感さをもって身構えしながら後ろを振り向いた。根もとから折れて横倒しに倒れかかる帆柱と、急に命....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
こにはいつでも個性と外界との対立が必要とせられる。私は自然若しくは人に対して或る身構えをせねばならぬ。経験する私と経験を強いる外界とがあって知識は生れ出る。努力....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ヨウイ(今日午後着く。用意)」 と聞きも済まさず、若い紳士は、斜に衝と開いて、身構えて、 (何、私信を見た上、用件を御承知になりましたな。) 「偏に申訳をいた....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
顔に異状はあるまい。およそ薙刀を閃めかして薙ぎ伏せようとした当の敵に対して、その身構えが、背後むきになって、堂の縁を、もの狂わしく駆廻ったはおろか、いまだに、振....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ないのは、演義三国誌|常套手段の、城門に敵を詭く計略。そこは先生、武辺者だから、身構えしつつ、土間|取附の急な階子段を屹と仰いで、大音に、 「頼もう!」 人の....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
と端へかけた手を手帳に控えて、麦畠へ真正面。話をわきへずらそうと、青天白日に身構えつつ、 「歌がお出来なさいましたか。」 「ほほほほ、」 と唯笑う。 「絵....
三枚続」より 著者:泉鏡花
か。」 そのまま店から下りそうなるを、びったりと背でおさえて、愛吉は土間一杯に身構えながら、件の賽の目のごとき足並の人立に向って、かすれた声、 「やい! 何方....