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「車室〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

車室の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
ロを投げた――という、偶然への挑戦であった。 偶然といえば、貴子も春隆も、その車室の隅に章三がいることに気がつかなかった。章三の方からははっきり見えるが、貴子....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
平らな道筋を滑って行く。窓硝子から間近い両側の商店街の強い燭光を射込まれるので、車室の中の灯りは急にねぼけて見える。その白濁した光線の中をよろめきながら、Mの学....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
ているのを知った。アンは、ドロレス夫人のいうとおり、なんでも従うつもりに見えた。車室まで、かみさんのいったとおりにするなんて、いやらしいほどの信頼ぶりだと、彼は....
空襲警報」より 著者:海野十三
泣きだしそうな顔で紙入をだした。 「お断りします」 車掌はキッパリいって、次の車室へドンドン歩いていった。 「おお、そこの子供くん。君は可愛い子だ」 と、紳....
香水紳士」より 著者:大阪圭吉
やって来たクルミさんである。 日曜日で、列車はわりにたて混んでいたが、それでも車室の一番隅っこに、まだ誰も腰掛けていない上等のボックスがみつかった。 一番隅....
家なき子」より 著者:楠山正雄
車は走り出した。わたしは汽車の戸口に席をしめた。巡査はわたしの前にこしをかけた。車室の中はわたしたちだけであった。 「おまえはイギリス語がわかるか」と巡査はたず....
深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
ので、急に忌になったのでしょう。嫌いな人はそんなものですよ。」 それならば他の車室へ引移れば済むことで、わざわざ下車するにも及ぶまいと思いながら、わたしは再び....
暗号数字」より 著者:海野十三
い。洗面所へ行ってみると、満員だった。窓外は朝の山々や田畑がまぶしく光っていた。車室へかえってくると、もう寝台はきれいに片づいていた。食慾がない。どうも変だ。昨....
キド効果」より 著者:海野十三
ですかッ。もしも重大なる変事だったら……」 「おおい、此処だア」と其の時、一輛後車室の窓から後部車掌が声をかけた。 前部車掌は車室を縦走して、後部車掌のところ....
最初の苦悩」より 著者:カフカフランツ
、むろんブランコ乗りの望むところからいうとあまりにものろのろしすぎた。汽車では一車室全体が独占され、そのなかでブランコ乗りは不十分ながらなんとかふだんの生活のし....
西航日録」より 著者:井上円了
、規律を守らざる風あり。例えば停車場に「喫煙を禁ず」とありても、遠慮なく喫煙し、車室内に「唾を吐くなかれ」とありても、みだりに唾を吐く癖あり。また、「落書きを禁....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
九ペンスすなわちわが三十六銭。汽車に一等、二等ありて三等なきは、豪州の特色なり。車室は粗悪にして、その二等はわが三等よりもあしし。十二時半出港。海上多少の風波あ....
金山揷話」より 著者:大鹿卓
ことにも旅先らしい興趣をおぼえながら、長途のうさを払おうとしていた。すると私達の車室へ、どやどやと一団の人々が乗り込んできた。白い造花や黒リボンのついた額入りの....
青い星の国へ」より 著者:小川未明
東京を出るときには、にぎやかで、なんとなく明るく、美しい人たちもまじっていた車室の内は、遠く都をはなれるにしたがって人数も減って、急に暗くわびしく見えたので....
むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
た」 話に夢中になっているうちに、乗客は一人残らず下車してしまい、がらんとした車室には先生と私とだけが相対しているのだった。 「その若い男の六部というのは――....