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軒並
「軒並〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
軒並の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
よく歩いて行くのが見えた。半分がた散り尽くした桜の葉は真紅《しんく》に紅葉して、
軒並みに掲げられた日章旗が、風のない空気の中にあざやかにならんでいた。その間に英....
「ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
硝子管だった。これがまだ宵のうちであれば、赤、青、緑の色彩うるわしい暈光が両側の
軒並に、さまざまのカフェ名や、渦巻や、風車や、カクテル・グラスの形を縫いだして、....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
工場へ吸収される値段の吊上げを試みつつあり、そしてやられて元も子もなくしたものが
軒並だ。個人工場の損失ではない、国家の大損失であり、猫の手さえ借りたい刻下の沖縄....
「寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
。 三四郎の住居は、丸太材を適度に配したヒュッテ風の小粋な住居で、同じように三
軒並んだ右端の家であった。左端の家はもう休んだのか窓にはカーテンが掛り、真中の家....
「駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
▲余の住ってる町は以前は組屋敷らしい狭い通りで、多くは小さい月給取の所謂勤人ばかりの
軒並であった。余の住居は往来から十間奥へ引込んでいたゆえ、静かで塵埃の少ないのを....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
とにかくその女の後について、二、三丁行って、ちょっとした横町にはいると、ほとんど
軒並みにホテルの看板がさがっている。みんな汚ならしい家ばかりだ。女はその中の多少....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
まする、大層な人数。 旦那様お通りの時分には、玉ころがしの店、女郎屋の門などは
軒並戸が開いておりましてございましょうけれども、旅籠屋は大抵戸を閉めておりました....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
落葉が、屋根越に―― 日蔭の冷い細流を、軒に流して、ちょうどこの辻の向角に、二
軒並んで、赤毛氈に、よごれ蒲団を継はぎしたような射的店がある。達磨落し、バットの....
「科学者と夜店商人」より 著者:海野十三
、側を見ると、そこにはファラデーの暗界の如き夜店が眼にうつった。というのは眩しい
軒並の夜店が、そこのところだけ二間ばかりも切れていて、そこだけ歯の抜けたように薄....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
京さんはひょっとしたら悦ぶかも知れない。 焼芋屋の隣に理髪店があるという平凡な
軒並も加奈子には珍らしかった。その筋向うに瓦斯器具一切を売る安普請の西洋館がある....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
外の人通もまばらになって、まだ帰って来なかった。 別に案ずるまでもない、同町の
軒並び二町ばかり洲崎の方へ寄った角に、浅草紙、束藁、懐炉灰、蚊遣香などの荒物、烟....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
が植っています。一本松ではありません、何とかいう待合、同業の家だった。目の下が、
軒並の棟を貫いて、この家の三階へ、切立てのように掛けた、非常口の木の階段だったの....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
であろうが、飯蛸なぞもそうである……栄螺、黄螺、生の馬刀貝などというと、張出した
軒並を引込んで、異に薄暗い軒下の穴から、こう覗く。客も覗く。…… つま屋と名づ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
って多年の心願の一端が協ってからは木剣、刺股、袖搦を玄関に飾って威儀堂々と構えて
軒並の町家を下目に見ていた。世間並のお世辞上手な利口者なら町内の交際ぐらいは格別....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
)ののれんをくぐったが、保証人がなく保証人を頼む二円の金の持合わせもないのだから
軒並みに断られた。それでも最後の店では多少気の毒にもなったのだろう。『国元に身元....