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軟性
「軟性〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
軟性の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「女生徒」より 著者:太宰治
ついたような、黙って、音も立てずに、トコロテンがそろっと押し出される時のような柔
軟性でもって、このまま浪のまにまに、美しく軽く生きとおせるような感じがしたのだ。....
「明暗」より 著者:夏目漱石
ず叔父の思い通りに楽々と運んで行く彼女には、いつでも年齢《とし》の若さから来る柔
軟性が伴っていたので、ほとんど苦痛というものなしに、叔父を喜こばし、また自分に満....
「家霊」より 著者:岡本かの子
れは単に仕方を示す真似事には過ぎないが、流石《さすが》にぴたりと形は決まった。柔
軟性はあるが押せども引けども壊れない自然の原則のようなものが形から感ぜられる。出....
「子供・子供・子供のモスクワ」より 著者:宮本百合子
字が実際生活の理解、建設に必須な武器かということは、一ヵ月この驚くべく前進的で柔
軟性に富んだ多面な新社会の中に生活して見れば忽ちわかる。 たとえば日本女は小説....
「坪内先生について」より 著者:宮本百合子
ものを知らずに育ったから、坪内先生の白いお髭や物腰やに衰えぬ老人の或る瀟洒たる柔
軟性というようなものを感じ大変注意をひかれた。粋なところがおありになった。私は、....
「「どう考えるか」に就て」より 著者:宮本百合子
面しながら、心からその良人の立場を支持し、その肉体と精神とを可能な限り健全な、柔
軟性にとんだものとして護ろうとして、野蛮で、恥知らずな検閲の不自由をかいくぐりつ....
「映画女優の知性」より 著者:宮本百合子
ているように思える。したがって、映画女優のあたまのよさは一方に瑞々しい適応性や柔
軟性をもっていなければならず、シルビア・シドニイというような女優は学問をやったと....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ます。いくらかずつ、少しずつ自主的な芸術の意味がわかって、多々益※弁じ、強固な柔
軟性のあふれた美しいものになりたいことね。
昔の作家は自身の中に分裂をもってい....
「空家の冒険」より 著者:ドイルアーサー・コナン
し出した弾丸を、ホームズは私の前にさし示した。 「ワトソン君、君の御覧の通り、柔
軟性の弾丸だ。しかしたしかに全く天才だね。まさかこんなものが、空気銃から飛び出て....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
ことは、日本人としての骨組みをつくるのに確かに必要なことである。私は私の資質の柔
軟性をそれによって多少救い得たように思う。 その後私は中学に進んだが、石畑君は....
「火の扉」より 著者:岸田国士
表がおいてあるので、手もちぶさたな彼女は、それをとりあげてみる。病名のところに「
軟性下疳」と書いてあるのだが、その病気がどんな病気か彼女には見当がつかぬ。たずね....
「決闘」より 著者:神西清
ながら、おずおずと歩いていたが、やがて卓に坐るとまた手をこすりはじめた。身体が柔
軟性を失ってしまったのだ。 死の前夜には近親に宛てた手紙を書かなければならぬ。....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
しいが、一人ぎめの人生観が硬化状態にあって、ユーモアを解し、市井の人情を解する柔
軟性がない。自分の殻を破ろうとしたり、人を理解しようとするところが足りない。すで....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
違である。 力はその足に、特に後足にこもっている。いつでも地をけって飛びだす柔
軟性をひそめて全部の力の支点となっている。 木剣はやや腕をまげて軽くひきつけて....
「金狼」より 著者:久生十蘭
すものですが、しかし、どういう場合でも、あらかじめ考案された方法というものは、柔
軟性を欠くか、なにかしら過剰なものを持つか、この二つの欠点をまぬかれることが出来....