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転々
「転々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
転々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
拒まずという、未練も執着もない無碍な境地が私の心である。それ故私の趣味は常に変遷
転々として極まるを知らず、ただ世界に遊ぶという気持で、江戸のみに限られていない。....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
に、この論文はあえて世人に示すを憚かるべきものにあらず、殊にすでに世間に伝わりて
転々伝写の間には多少字句の誤なきを期せざれば寧ろその本文を公にするに若かざるべし....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ね、伸び靡いた、一条の黒髪の上を、光琳の錦を敷いた木の葉ぢらしの帯の上のごとく、
転々として転げ倒れた。 「光邦様、光邦様。」 ぎょっとすると、お滝夜叉。 「あ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
まなんです。 ――「魔道伝書」ようございますか、勿論、板本でなし、例の貸本屋を
転々する写本でなく、実にこの婆さんの兄の間淵が秘蔵した、半紙を部厚に横綴の帳面仕....
「映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
かかる場所で働いている従業員の不安を考えてみるがよい。 彼らはなるほど会社間を
転々する。なぜならばそれ以外に昇給の方法を知らないから。 彼らは盛んに会社から....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
ていませんでした。止むを得ぬ事情の下におかれて、彼は同志の家で、食客の出来る家を
転々し始めました。三月の末に、Oが三月の刑期を終えて出獄する頃には、私にはもうY....
「瘤」より 著者:犬田卯
戻って、満鉄の業務員、大連の某会社の事務員、転じて朝鮮総督府の雇員……と数年間を
転々したのであった。しかるに今度、親父の死、それに学閥なき者の出世の困難さにつく....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
る「ちょっとした」その風姿が物語るごとく、場末のカフェとか、田舎町の料理店とかを
転々としていたのだそうで、「三日もすると」――これも村人の表現――そこを飛び出し....
「西航日録」より 著者:井上円了
渡り、翌朝シリグリ(Silliguri)停車場に着す。これより山道にかかる。汽車
転々として登る。あるいは蛇行し、あるいは回旋し、あたかも曲芸を演ずるがごとし。か....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
公園に似たり。午後八時、ベルリン行きの急行に投ず。市外はすべて農田にして、風車の
転々として晩風に舞うを見る。夜に入り、明月清風の旅情を慰むるあり。これに加うるに....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
児であった。が、それほど情が濃やかだったので、同じ遊蕩児でも東家西家と花を摘んで
転々する浮薄漢ではなかったようだ。 沼南は本姓鈴木で、島田家の養子であった。先....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
や、世間躰を飾った自己弁護はあっても)、みな真実であろう。馬琴が京伝や蔦重の家を
転々して食客となり、処女作『尽用而二分狂言』に京伝門人大栄山人と署したは蔽い難い....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
昭和二十年! 凶悪な年なりき。言語道断、死中に活を拾い、生中に死に追われ、幾度か
転々。或は生ける屍となり、或は又断腸の想いに男泣きに泣く。而も敗戦の実相は未だ展....
「火星探険」より 著者:海野十三
間の方だった。四少年は、山木も河合も張もそしてネッドも、岩石散らばる荒蕪地の上を
転々として転げまわり、そしてはははは、ひひひひと笑い転げていた。いったい何がおか....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
正視するに、たえなかった。或いは、船首を下にし、或いは胴中を二つに歪め、或いは、
転々と苦悩し、焔を吹き、怪音をあげ、焼け爛れたるアクロン号は、武蔵野平野の、真唯....