転倒[語句情報] » 転倒

「転倒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

転倒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
の、お従妹御《いとこご》さんのお名前は」 と岡に尋ねた。岡は言葉どおりに神経を転倒させていた。それはこの青年を非常に醜くかつ美しくして見せた。急いですわり直し....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
はおずおずと戸を閉《し》めて戸外に立っていた、赤坊の泣くのも忘れ果てるほどに気を転倒させて。 声をかけたのは三十前後の、眼の鋭い、口髭《くちひげ》の不似合な、....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
である。寒帯文明が中心となってでき上がった人間の生活状態というものは、やはり主客転倒したものである。…… この二つのものは別々であってよいかと言うに、これは一....
深夜の市長」より 著者:海野十三
人の壮漢……。呀ッという間もなく僕の向う脛を掻っ払った。僕は俵のように※と地上に転倒した。 「……だから、お照さん。云わないこっちゃない。……」 「さあ、愚図愚....
振動魔」より 著者:海野十三
た。灼けつくような高熱が、全身から噴きだした。 「奔馬性結核!」 彼は床の上に転倒しながら、ハッキリ彼自身の急変を云いあてたのだった。 4 吾が柿....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
カーテンの蔭から、太い逞しい腕がニューッと出た。鬼川は横腹をおさえて、もろくも、転倒した。 カーテンの蔭から、ルパシカ姿の巨漢が現れた。 「中佐どの、片附けま....
疑問の金塊」より 著者:海野十三
られるなら……」 清子は憑かれたような眸で、私の方に顔を向けた。 壮平は気が転倒してしまって、一語も発することができないで居る。銅鑼は船内を一|巡して、また....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
癖、怪飛んで遁げて来る。 爺どのは爺どので、息を詰めた汗の処へ、今のきゃあ!で転倒して、わっ、と云うて山の根から飛出す処へ、胸を頭突に来るように、ドンと嘉吉が....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
うへ飛んだは蝴蝶のような白い顔、襟の浅葱の洩れたのも、空が映って美しい。 老人転倒せまい事か。――やあ、緑青色の夥間に恥じよ、染殿の御后を垣間見た、天狗が通力....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
えりて湿虫の餌となれる、意中の人の窮苦には、泰山といえども動かで止むべき、お通は転倒したるなり。 「そんなに解っているのなら、ちょっとの間、大眼に見ておくれ。」....
星女郎」より 著者:泉鏡花
、いずれその辺で、大慨|気絶けてしまうのでござろう。」 と先達は合点する。 「転倒しても気は確で、そんなら、振切っても刎上ったかと言えば、またそうもし得ない、....
」より 著者:犬田卯
いといって、おせきは再びおさよから迎えを受け、家へとんでかえって、あれこれと気も転倒し、てんてこ舞いを演じていた。ヨシ子は今にも眼の玉を引っくりかえしてしまいそ....
妖怪玄談」より 著者:井上円了
その答えなし。しばらくありて重ねてたずねたれば、三本足ことごとく舞い上がり、盆を転倒して去りたり」という。 余、これを試みんと欲し、昨秋自宅において、前後数回....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
にあらずと。政教子曰く、車夫の言、論理に合す。論理学命題の規則中に、主辞、賓辞を転倒するの過失を証明せり。今、モルモン宗は多妻なりの一命題を転倒して、多妻なるも....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
一望凄然たり。ただ海鵝の波頭に舞うを見るのみ。今日食卓にワクをはむるも、なお器物転倒を免れず。甲板上には両側波よけをつけ、中間に縄を張り、歩するものをしてこの縄....