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軽く
「軽く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
軽くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
々と風に吹かれて行く。が、女は未だに来ない。
尾生はそっと口笛を鳴しながら、気
軽く橋の下の洲《す》を見渡した。
橋の下の黄泥《こうでい》の洲は、二坪ばかりの....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
け遠くへほうり投げると、そのあとを追って、頭をめぐらす野犬のすきをうかがって、身
軽く馬の平首へおどりついた。太郎もまたその刹那《せつな》に猿臂《えんび》をのばし....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
》の声が、日の光とともに、雨のごとく落ちて来る。彼は今まで沈んでいた気分が次第に
軽くなって来ることを意識した。
「しかし、眇がどんな悪評を立てようとも、それは精....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
聞いて見ても、わからないのに相違ございません。」
こう平太夫《へいだゆう》が口
軽く、扇の音と一しょに申しますと、摩利信乃法師はまるでまた、どこの殿様かと疑われ....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
ましたが、私がその顔に気がつくと同時に、向うも例の艶《なまめか》しい眼をあげて、
軽く目礼を送りました。そこで私も眼鏡《オペラグラス》を下しながら、その目礼に答え....
「葱」より 著者:芥川竜之介
「そっち?」
と不思議そうに声をかけた。が、田中君は肩越しに、
「ああ。」
と
軽く答えたぎり、依然として須田町の方へ歩いて行く。そこでお君さんもほかに仕方がな....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
衛門殿をよんで来ましょう。」とか何とか云うと、早速隔ての襖《ふすま》をあけて、気
軽く下の間へ出向いて行った。そうして、ほどなく、見た所から無骨《ぶこつ》らしい伝....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
の用もないのに、この渡し船に乗った。水の動くのにつれて、揺籃《ゆりかご》のように
軽く体をゆすられるここちよさ。ことに時刻がおそければおそいほど、渡し船のさびしさ....
「路上」より 著者:芥川竜之介
つこ》は、俊助《しゅんすけ》の姿を見るが早いか、遠くから靨《えくぼ》を寄せて、気
軽くちょいと腰をかがめた。と、野村も広い金釦《きんボタン》の胸を俊助の方へ向けな....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
いた。
容貌の醜い若者はこの新しい遊戯を見ると、すぐに弓矢を砂の上に捨てて、身
軽く河の流れを躍り越えた。そこは彼等が飛んだ中でも、最も幅の広い所であった。けれ....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
ないような羽目《はめ》になってしまいました。これもそうするほかに、私たちの不幸を
軽くする手段が、なかったのですから、仕方がございません。が、この事は後でまた、申....
「或る女」より 著者:有島武郎
鈴《すず》のように大きく張って、親しい媚《こ》びの色を浮かべながら、黙ったままで
軽くうなずこうと、少し肩と顔とをそっちにひねって、心持ち上向《うわむ》きかげんに....
「或る女」より 著者:有島武郎
くつながった。葉子は少しいたずららしい微笑を笑窪《えくぼ》のはいるその美しい顔に
軽く浮かべながら、階段を足早に降りて行った。今ごろになってようやく床を離れたらし....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
いのでございます。 気のすすまぬ現世時代の話も一と通り片づいて、私は何やら身が
軽くなったように感じます。そちらから御覧になったら私達の住む世界は甚だたよりのな....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
脱ぎ捨ててしまった。すると薄い足袋の裏へじかに小石が食いこんだが、足だけは遙かに
軽くなった。彼は左に海を感じながら、急な坂路を駈け登った。時時涙がこみ上げて来る....