輻湊[語句情報] »
輻湊
「輻湊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
輻湊の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
島はその日の昼少し過ぎに、遠い山のなかの或温泉場に着いた。
浴客はまだ何処にも
輻湊《ふくそう》していなかったし、途々《みちみち》見える貸別荘の門なども大方は閉....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
ばくぜん》と、一つが頭の上に落ちて来れば、すべてその他が後《あと》を追って門前に
輻湊《ふくそう》するぐらいに思っている。しかし僕はそういう問題について、何事も母....
「東山時代における一縉紳の生活」より 著者:原勝郎
将を経て蔵人頭となった。いま一息で公卿補任中の人となるのである。 諸種の事態が
輻湊《ふくそう》して実隆の辞意を決せしめた。日記永正三年正月二十七日の条に、「孟....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
涙が胸の内側に流れるようで。(もっと複雑な感じ。時代的にも人生的にも様々の思いの
輻湊《ふくそう》した) 富雄さんは十一日の朝、克子は御臨終の直前にかえりました....
「箱根熱海バス紀行」より 著者:寺田寅彦
のろい人間もたまに得をすることがあるのである。小涌谷辺は桜が満開で遊山の自動車が
輻湊して交通困難であった。たった一台交通規則を無視した車がいたため数十台が迷惑す....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
配、交易、貨幣、信用、資本家の権利、労働者の権利、すべてそれらの問題が社会の上に
輻湊《ふくそう》していた。
本来の政治的党派のほかにまた、他の運動も現われてい....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
言えば、その行き止まりから少しあとに引き返し、ブーシュラー四つ辻《つじ》の地下の
輻湊点《ふくそうてん》にも迷わないで、フィーユ・デュ・カルヴェールの隧道にはいり....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
ちょっと了解に苦しむところであるが、これすなわち東京は全国から各種各階級の人々の
輻湊するところであって、ある区のある町はほとんど全市民が相往来するから、得意の種....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
ので評判であった。 突飛なるは婦人乗馬講習所が出来て、若い女の入門者がかなりに
輻湊した。瀟洒な洋装で肥馬に横乗りするものを其処ら中で見掛けた。更に突飛なのは、....
「放水路」より 著者:永井荷風
》が、曇った空に聳《そび》えて眺望を遮《さえぎ》っている。今まで荷船《にぶね》の
輻湊《ふくそう》した狭い堀割の光景に馴らされていた眼には、突然濁った黄いろの河水....
「西航日録」より 著者:井上円了
カ海峡咽喉の地にありて、実に枢要の港口なり。万国の船これに出入し、万国の人ここに
輻湊し、その盛況これを十四年前に比するに、ほとんど別天地の観あり。その地赤道に接....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
なぐに適すると、渓谷間に清泉の湧出するありて飲用水を有するとによりて、ここに人の
輻湊するに至り、自然に小都邑をなせり。ほかの諸島は飲用水なく、すべて雨水を用うと....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
に残っていて、俚俗《りぞく》広小路、又は改正道路と呼ばれる新しい道には、円タクの
輻湊《ふくそう》と、夜店の賑いとを見るばかりで、巡査の派出所も共同便所もない。こ....