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「辛気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

辛気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
放浪」より 著者:織田作之助
もは自転車に乗って来るべき産婆が雨降っているからとて傘さして高下駄はいてとぼとぼ辛気臭かった。それで手違うて、順平は産れたけれど、母親はとられた。兄の文吉は月た....
世相」より 著者:織田作之助
き込めようとしたが、マダムは離さずぎゅっと押えていたが、何思ったか急に、 「ああ辛気臭《しんきくさ》ア」と私の人さし指をキリキリと噛みはじめた。痛いッと引抜いて....
わが町」より 著者:織田作之助
たが、子供たちの名に馴染がなくて、うしろに居るのは誰とはよう当てず、 「あんた、辛気くさいお子オやなア」 もう遊んでくれなかった。 「通らんせエ 通らんせエ ....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
万元かの懸賞金が頸にブラさがっているその頸の番をしたりするほか、二人の娘を相手に辛気くさいカルタを取った。麻雀を教えてやった。支那語の一二三を何十回となく、馬鹿....
縮図」より 著者:徳田秋声
包んだり、半衿や袖口などを買ってやったりしていた。吝々するのは芸者の禁物であり、辛気くさい洗濯や針仕事は忙しい妓には無理でもあり、小さい時から家庭を離れている銀....
」より 著者:徳田秋声
雨が長く続いて、崖際の茶の室や、玄関わきの長四畳のべとべとする畳触りが、いかにも辛気くさかった。そんな雨を潜りながら赤子を負って裏木戸から崖下の総井戸へ水を汲み....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
にじんで来る。電気でもつけましょう……。駄菓子ではつまらないと見えて腹がグウグウ辛気《しんき》に鳴っている。隣の古着屋さんの部屋では、秋刀魚《さんま》を焼く強烈....
丹下左膳」より 著者:林不忘
った。 「そう水を向けちゃあいけませんやあねえ。姐御《あねご》、姐御は苦労人だ。辛気《しんき》臭くちゃ酒がまずいや、ねえ?」 どッ! と浪のような笑いに座がく....
丹下左膳」より 著者:林不忘
自分はそのいけにえになるのか……と、萩乃が身ぶるいをしたとたん。 「おひとりで、辛気《しんき》くそうござんしょう、お嬢さま」 と、庭さきに声がした。 見ると....
虫喰い算大会」より 著者:海野十三
た五冊の文献洋書は悉くイギリスの刊行にかかります。 アメリカでは、あまりこんな辛気くさいものを見かけません。尤もアメリカにも全然ないというわけではなく、少しは....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
うしてふっと黙りこむと、ことさら哀《あわ》れに見えるのだ。 お駒ちゃんは、その辛気臭くしている日本一太郎がいやであったから、あしたを控えて、町のようすでも一ま....
ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
身の上だったとはいえ、舅の家におけるカテリーナ・リヴォーヴナの明け暮れは、世にも辛気くさいものであった。よそへお客に行くことも滅多になかったし、よしんば時たま商....
すみだ川」より 著者:永井荷風
りの舟の唄。※忍ぶなら忍ぶなら闇《やみ》の夜は置かしやんせ、月に雲のさはりなく、辛気《しんき》待つ宵、十六夜《いざよい》の、内《うち》の首尾《しゅび》はエーよい....
放浪」より 著者:織田作之助
は自転車に乗って来るべき産婆が雨降っているからとて傘さして高下駄はいてとぼ/\と辛気臭かった。それで手違うて順平は産れたけれど、母親はとられた。兄の文吉は月たら....
わが町」より 著者:織田作之助
が、子供たちの名に馴染みがなくて、うしろにいるのは誰とはよう当てず、 「あんた、辛気くさいお子オやなア。」 もう遊んでくれなかった。 そんな君枝が不憫だと、....