辛酸[語句情報] » 辛酸

「辛酸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

辛酸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
私の父と母」より 著者:有島武郎
、結婚前には東京でお針の賃仕事をしていたということである。こうして若い時から世の辛酸を嘗めつくしたためか、母の気性には濶達《かったつ》な方面とともに、人を呑んで....
星座」より 著者:有島武郎
ざれ。彼女は我が一家の犠羊《ぎよう》なり。兄の知れるごとく今小樽にありてつぶさに辛酸《しんさん》を嘗《な》めつつあり。もしさらに一二年を放置せば、心身ともに萎靡....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
大偉力に対するダネックの科学より、むしろ神秘対神秘力でケルミッシュではないのか。辛酸五年の労苦が水泡《すいほう》に帰したところへ、あらたな力を抱《いだ》いて魔境....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
来た「父よ(父よは愛よである)我れわが身を汝に委ぬ」。そして本当に神々しく、その辛酸に痩せた肉体を、最上の満足の為めに脚の下に踏み躙った。 基督の生涯の何処に....
疑問の金塊」より 著者:海野十三
庁を離れ、はるばるこの横浜くんだりへ入りこんでからこっち、二人で嘗めあった数々の辛酸が彼等を一層野心的にしていた。 私は先程から、二人の眼を避けて、屍体の横た....
小説家たらんとする青年に与う」より 著者:菊池寛
生活の苦労を知ることは出来ないかも知れないが、とにかく、若い人は、つぶさに人生の辛酸を嘗めることが大切である。 作品の背後に、生活というものの苦労があるとない....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
でした……。私の父は旗色の悪い南朝方のもので、従って私どもは生前に随分数々の苦労辛酸を嘗めました……。』 問『まあそれはお気の毒なお身の上……私の身に引きくらべ....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
んだ業だ。 私は先日、今日出海の「私は比島の浮浪者だった」を読んで、彼のなめた辛酸の大きさに痛ましい思いをさせられたが、彼がようやく比島を脱出して台湾へ辿りつ....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
ならず、それらの悪行を、この薪左衛門にかずけようとした不信の行為! のみならず、辛酸を嘗め合った同志を穴埋めにした裏切り行為! 肉を喰うも飽き足りぬ怨恨憎悪が、....
愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
、現に今之を書いている私の傍で、せっせと悪戯をしている)との間に立って、あらゆる辛酸を嘗めていた。そこへ父が飛び込んで来たのだった。 妻は父が這入って来た時に....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
っとも知らないのであるが、尾上松幸という青年俳優は京大阪の各地を流浪して、非常の辛酸を嘗めたように伝えられている。それでもどうにか詫びがかなって、もとの尾上家に....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
らか秘密が己に分かろうかと思って、 己は魔法に這入った。 その秘密が分かったら、辛酸の汗を流して、 うぬが知らぬ事を人に言わいでも済もうと思ったのだ。 一体この....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
一家内のことであるが、そればかりでなく、彼が外祖父である為子腹の尊良親王も、種々辛酸を嘗められ、尊氏が鎌倉に叛したときは、為冬は親王を奉じて討伐に向ったが、箱根....
人間否定か社会肯定か」より 著者:小川未明
信じて、満足するであろうか。 人間は、希望と光明を持てばこそ、はじめて、幾多の辛酸を凌いでも、前へ、前へと進んで来たのである。人間が、年若くして、人生を美しい....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
の現実と理想との考え方は、釈尊はじめ後代無数の名僧知識たちが、現実生活のあらゆる辛酸を嘗め尽し、あらゆる困難を克服した強い意志や体験から見つけ出した真理であり、....