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「辞す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

辞すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青春の逆説」より 著者:織田作之助
での立ち話では、三人とも頼むべきこともろくに頼めなかった。阿呆らしい気持で早々に辞すと、足は自然に京極の方を向いた。途々、赤井はひとりで興奮していた。豹一はわり....
空中漂流一週間」より 著者:海野十三
知って、大いにうたれた。 その「火の玉」少尉は、田毎大尉と旧友戸川中尉との前を辞するときに、一段とかたちを改め顔面を朱盆のごとに赫くして、 「でありますが、こ....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
後生だ。頼む。逢って行ってやっておくれ。」 「でもそれだけは。」 謙三郎のなお辞するに、果は怒りて血相かえ、 「ええ、どういっても肯かないのか。私一人だから可....
星女郎」より 著者:泉鏡花
に、颯と月影が射したんです。 毒虫を絞った汁にもせよ、人生れて男にして、これは辞すべきでない。 引掛けて受けました。 薫と酔が、ほんのりと五臓六腑へ染渡る....
恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
とは夜間寄宿舎の窓より、勝手に小便を垂れ流す事なり。僕は時と場合とに応じ、寮雨位辞するものに非ず。僕問う。「君はなぜ寮雨をしない?」恒藤答う。「人にされたら僕が....
二・二六事件に就て」より 著者:河合栄治郎
方を採るならば、その所信に於て貫徹を期すべきである。所謂責任と称してその都度職を辞するが如きは、其の意味の責任を果たさざるものである。幸いにして此の機を利用して....
夜光虫」より 著者:織田作之助
ていた。 小沢はその刑事が翌朝出署してから、改めて交渉しようと、ひとまずS署を辞すことにして、玄関を出ようとした途端、豹吉に出会ったのである。…… 「えっ、針....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
て「そんな事も考えたが実は猶だ決定したのではない」と打消し、そこそこに博士の家を辞するや否、直ぐその足で私の許を訪い、「今、坪内君から聞いて来たが、君はこうこう....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
る大抱負を有するなら努めて寛闊なる襟度を養わねばならない、例えば西園寺侯の招宴を辞する如きは時の宰相たり侯爵たるが故に謝絶する詩人的|狷介を示したもので政治家的....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
て誓願を立てたがこの国境までにはまずどうにか無事に着いたかと思うと、かつて郷関を辞する時分には今より三ヵ年の後にはチベットの国境にはいることが出来るであろう、何....
西航日録」より 著者:井上円了
使の招きにより、公使館にて喫飯し、これより旅装を整え、当夜十時発の急行にて露都を辞す。余は一字一言もロシア語を解せざるに、露都滞在中、市内の見物はもちろん、諸事....
明治演劇年表」より 著者:岡本綺堂
に違反すという反対論多く、諸新聞の攻撃もまた猛烈。それがために団十郎は遂に頭取を辞するに至れり。 ○十一月、市村座の新築落成して、十日より開場。元地の猿若町に最....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
徹底的に戦う積りであります。私らは、大阪市をこの煤煙の圧制より解放するために死も辞するものではありません。 ……それでなくても、肺病で殺されるのでありますから....
エタ源流考」より 著者:喜田貞吉
り、その支配を受ける事になった一例であるが、普通民でも生きんが為には時に賤業をも辞する事が出来ずして、その手下となって職を得るという場合の多かった事は言うまでも....
耳香水」より 著者:大倉燁子
を帰して、時間の都合でもあるのか、少し悠然と落付いて話込んでいましたが、その家を辞する頃は、もう人の顔が見分られないほどに、夕闇が迫って居りました。 K夫人は....