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辞世
「辞世〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
辞世の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
。のこりの金はみなお前様のものにして下され。一人旅うき世をあとに半之丞。〔これは
辞世《じせい》でしょう。〕おまつどの。」
半之丞の自殺を意外《いがい》に思った....
「或る女」より 著者:有島武郎
っていた。が、田川夫妻が自分と反対の舷《げん》の籐椅子《とういす》に腰かけて、世
辞世辞しく近寄って来る同船者と何か戯談口《じょうだんぐち》でもきいているとひとり....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
の同期の友人は、云い合わせたように立上った。 「どれ、部屋へ帰って、今のうちに、
辞世でも考えて置こうかい」 「俺は、いまのうちに、たっぷり睡って置こうと思うよ」....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
ぶらぶら病いで床について、その年の十月にとうとういけなくなってしまいました。その
辞世の句は、上五文字をわすれましたが「猿の眼に沁む秋の風」というのだったそうで、....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
当のものだとすれば、彼自身『人の世の罪の汚れを浄めつつ神のみ国へ急ぐ楽しさ』と、
辞世に述べてある如く、天国へ行ける積りであったと思うのです。 基督教の教義を真....
「厳島合戦」より 著者:菊池寛
りにて自害したと言われている。 伊加賀民部、山崎|勘解由等これに殉じた。晴賢の
辞世は、 なにを惜しみなにをうらみむもとよりも 此の有様の定まれる身に ....
「山崎合戦」より 著者:菊池寛
は、神経質な武将だけに、小胆であろうから、そんな事があったのかも知れない。死ぬ時
辞世がある。 |順逆無 五十五年夢 |大道徹 |覚来帰 多分後世の仮作であろう....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
には師について学んだもの、 長じては自ら学識を誇ったもの。 だが今にして胸に宿る
辞世の言葉は―― 水のごとくも来たり、風のごとくも去る身よ! 38 同心の....
「犬神娘」より 著者:国枝史郎
でござります。 「大君のためには何かをしからん薩摩の瀬戸に身は沈むとも」これがご
辞世でございます。 でも、おおおお、わたしといたしましては、それもこれも犬神の....
「正雪の遺書」より 著者:国枝史郎
。鴨居から鴨居へ麻縄を張り渡してあるからでございます。 今生の名残りに壁の面へ
辞世を書くことに致します。 「翼の調わざるものは高く飛ぶ能わず。四足の未だ整わざ....
「中毒」より 著者:織田作之助
、後世引用されると思えば恐らくそんな墓銘を選ぶのを避けたに違いない。 墓銘とか
辞世とか遺書とかいうものを、読むのを私は好まない。死ということは甚だ重要だから、....
「作画について」より 著者:上村松園
みせて、 露をだにいとふ大和の女郎花 降るあめりかに袖はぬらさじ という
辞世の一首を残して、自害した日本女性の大和魂を示した気概ある女性であります。 ....
「奉行と人相学」より 著者:菊池寛
死んだらばたつた五両と云ふならむ 生きてゐたらば二分もかすまい と云う
辞世の歌を作っている。もっとも、二分と云っても、その頃|吉原の一流のおいらんの揚....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
、年紀二十有五に満たず、肺を煩い、余り胸が痛いから白菊の露が飲みたいという意味の
辞世の句を残して儚うなり、贔屓の人々は謂うまでもなく、見巧者をはじめ、芸人の仲間....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
っていた。緑雨の最後の死亡自家広告は三馬や一九やその他の江戸作者の死生を茶にした
辞世と共通する江戸ッ子作者特有のシャレであって、緑雨は死の瞬間までもイイ気持にな....