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辻褄
「辻褄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
辻褄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
いつか、母に向って、「肺病はうつるもんだよ」といった弟の言葉だった。純次はどうせ
辻褄《つじつま》の合わないことをいう低能者ではあった。しかし今の言葉に清逸は、低....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
い箇所のあるような場合に一層起りやすい、そういう時にはそれを記述する収集家はその
辻褄を合わせようという気に誘われやすいからである。その収集家が人種の近親関係また....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
ち寄ったのだと言えば、それまででざっと済む。が、それだと、しめくくりが緩んでちと
辻褄が合わない。何も穿鑿をするのではないけれど、実は日数の少ないのに、汽車の遊び....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
た。そして僕の耳許に早口で囁いた。 「え、お願いですわ。暫くあたくしのいう言葉に
辻褄を合わしていて下さいませネ。あたくし、生死の境に立っているんですもの……」 ....
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
ひかえて、小高い尾根の上に絵のように静まり返っていた。――洋画家の川口亜太郎が、
辻褄の合わぬ奇妙な一枚の絵を描き残したまま卒然として怪しげな変死を遂げてしまった....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
動や、ドイツ行きの目的や、その他根ほり葉ほり尋ねられた。大がいのことはいい加減に
辻褄の合うように返事していれば済むんだが、一番困ったのは身元証明書の中に書き入れ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
なっていたが、なにしろ場合が場合であるので、きょうに限ってリザヴェッタはとかくに
辻褄の合わないような返事ばかりするので、夫人はしまいに怒り出した。 「おまえ、ど....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ております。―― 手紙の終わりには、なおいろいろの弁解が付け加えてあって、やや
辻褄の合わない点もあるが、筆者はすこぶる注意して書いたらしく、くどくどと列べ立て....
「狂人日記」より 著者:井上紅梅
でに用心深く手配して気狂という名をわたしにかぶせ、いずれわたしを食べる時に無事に
辻褄を合せるつもりだ。衆が一人の悪人を食った小作人の話もまさにこの方法で、これこ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
老女を、お叱りになったことがあるのだそうでございます。そうすると、その老女は何か
辻褄の合わない嚇し文句を残して、そのままいなくなってしまいました。それから間もな....
「瘤」より 著者:犬田卯
でなければなるまい。無力文盲に近い貧農たちの無けなしの土地を整理して、上部の方を
辻褄合せようと、組合の内部は依然として火の車なのであり、いや、ますますそれが悪化....
「怪談劇」より 著者:岡本綺堂
劇ばかりでなく、怪談全般に就いて云うべきことであるが、わが国在来の怪談はあまりに
辻褄が合い過ぎる。たとえば甲が乙を殺したが為に、甲又は甲の眷族が乙の幽霊に悩まさ....
「明治の文学の開拓者」より 著者:内田魯庵
の立見さえした事のない連中が一と幕物を書いてる。児供のカタゴトじみた文句を聯べて
辻褄合わぬものをさえ気分劇などと称して新らしがっている事の出来る誠に結構な時勢で....
「画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
か為ましたか」私は半は夢中で、「ハイあれです、確にあれです、私は確に見ました」と
辻褄のあわぬ返事、主人は愈よ不思議そうに眉を顰めたが、やがて俄に笑い出して、「あ....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
しいのです。 そこへ何か男が冗談まじりに他の女の話でもしたらしく、何分夢の事で
辻褄の合わないところもあるのですが、女はまるで夜叉のように怒って、いきなり男に組....