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「迂闊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

迂闊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
さてはまた、福徳の大神《おおかみ》に祟られた物狂いでも踊っているか、さもなければ迂闊《うかつ》な近江商人《おうみあきゅうど》が、魚盗人《うおぬすびと》に荷でも攫....
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
のは母の声だった。「何をしているんです?」「氷を壊《こわ》しているんだよ」自分は迂闊《うかつ》を恥《は》じながら、「電燈をつければ好《い》いのに」と云った。「大....
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
は宿へあずけて行くに決まっている。そのときに受取ったが最後、なんとか文句を付けて迂闊《うかつ》に渡してくれるなと言った。客の金をあずかっておきながら、それを渡す....
心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
、この場合どうしても謹慎していなければならない六三郎は、親方の手前、世間の手前、迂闊《うかつ》に外出することもできないので、じっと堪《こら》えておとなしく日を送....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
轢轆たる往還を、サインに関らずふらりふらり横切ったり、車道に斜にはみ出したりする迂闊に対して、むす子は、こんな荒い言葉で叱りながら、両手は絶えず軟くかの女の肩を....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
羽子の音。これがいわゆる「春の声」であったが、十年以来の春の巷は寂々寥々。往来で迂闊に紙鳶などを揚げていると、巡査が来てすぐに叱られる。 寒風に吹き晒されて、....
奇賊は支払う」より 著者:海野十三
にいるのでしょう。家内にそういって、家へ連れ戻さねばなりません」 探偵は自分の迂闊を空咳に紛らせておいてから、さて主人の耳に囁いた。 「実はその、繭子夫人を隠....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
人間界とは没交渉な、ほかの生物かと思われるほどに冷やかな顔をしていた。 多くの迂闊な人たちは往来で彼に近づいても気が付かなかった。そうして、眼も眩むような立派....
黄八丈の小袖」より 著者:岡本綺堂
られて成功しなかった。その以来又四郎は余ほど警戒しているらしく見えるので、お常も迂闊に手を出すことが能なくなった。忠七は自棄になって放蕩を始めた。お熊は嫉妬やら....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
のにあらず。その改宗転派の日を待ちて、はじめて人民の知識を進歩せんとするは、実に迂闊の策といわざるべからず。例えばここに幼児あり、これに薬を与えんとす。他人これ....
金山揷話」より 著者:大鹿卓
道義感があって、自分達がこうして余り痛切なかんじもなく、人間の死について語り得る迂闊さへの、自憤だったかもしれない。 「どうせ市岡もたいしたかねは取ってやしない....
むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
ませんので、そこに二日間も新生寺さんが留っていたのを誰も知らなかったのです。随分迂闊な話ですが、それが実際のことなのです。 新聞を手にして、急いで奥書院へまい....
鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
しながら皮肉な笑いを唇に浮べて、 「売名だろうよ。殊に犯人の廻し者かも知れない、迂闊に信用すると赤ッ恥をかくぞ」 赤星は黙っていた。部屋の隅では鳩が不安そうに....
黒猫十三」より 著者:大倉燁子
いたが、この頃はそういう噂も余り聞かなくなったので喜んでいたのだが、――何という迂闊な事だったのだろう。彼が親の家を出て、アパート住居をしているのも、女出入に都....
自来也の話」より 著者:岡本綺堂
い。どこかに賍品を隠匿しているであろうと詮議したが、それも見あたらない。さりとて迂闊に放免するわけにも行かないので、そのまま獄屋につないで置くと、その囚人がある....