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近々
「近々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
近々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
ていた。もっとも彼の考えはお嬢さんの上にばかりあった訣《わけ》ではない。たとえば
近々《きんきん》とりかかるはずの小説のことも思い浮かべた。その小説の主人公は革命....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
んよりと曇った高台《たかだい》の景色を硝子《ガラス》戸越しに眺めていた。
「僕は
近々《きんきん》上海《シャンハイ》の通信員になるかも知れない。」
彼の言葉は咄....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
《から》んでいた。……
その晩田宮が帰ってから、牧野は何も知らなかったお蓮に、
近々陸軍を止め次第、商人になると云う話をした。辞職の許可が出さえすれば、田宮が今....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
一心から、わざと気軽らしい態度を装《よそお》って、うすぼんやりしたランプの向うに
近々と相手を招じながら、
「ではとにかく御話だけ伺いましょう。もっともそれを伺っ....
「出帆」より 著者:芥川竜之介
ちに、久米と松岡とが、日本の文壇の状況を、活字にして、君に報ずるそうだ。僕もまた
近々に、何か書くことがあるかもしれない。
(大正五年九月)....
「路上」より 著者:芥川竜之介
うぼう》して、この頃発行し始めた同人雑誌の名前である。その連中の主催する音楽会が
近々|築地《つきじ》の精養軒《せいようけん》で開かれると云う事は、法文科の掲示場....
「或る女」より 著者:有島武郎
ように葉子の鼻を打って、目の心《しん》まで紅《あか》くなった知らない若者の顔が、
近々と鼻先にあらわれていた。はっと身を引く暇もなく、葉子の肩はびしょぬれになった....
「或る女」より 著者:有島武郎
くれて、赤くかわいた口びるからもれ出るあの囈言《うわごと》……それがどうかすると
近々《ちかぢか》と耳に聞こえたり、ぼんやりと目を開いたりするその顔が浮き出して見....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
雲が空を動くたびごとに、山は居住まいを直したかのように姿を変える。君は久しぶりで
近々とその山をながめるともう有頂天になった。そして余の事はきれいに忘れてしまう。....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ではないか。その時伝説によって私は判断されずに、私が伝説を判断する。又私の理想は
近々と現在の私に這入りこんで来て、このままの私の中にそれを実現しようとする。かく....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
いた。聖像の前に最後の祈を捧げると、いそいそとして立上った。そして鏡を手に取って
近々と自分の顔を写して見た。それが自分の肉との最後の別れだった。彼女の眼にはアグ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
と肩を窄めて俯向いた、海水帽も前下り、頸白く悄れて連立つ。 少年は顔を斜めに、
近々と帽の中。 「まったく色が悪い。どうも毛虫ではないようですね。」 これには....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ましてね、もうもう賞めて賞めて賞め抜いてお聞かせ申しましてございますよ。お嬢様も
近々御縁が極りますそうで、おめでとう存じます、えへへ、と燥いだ。 余計な事を、....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
が、早や横正面に舞台の松と、橋がかりの一二三の松が、人波をすかして、揺れるように
近々と見えるので……ややその松の中へ、次の番組の茸が土を擡げたようで、余程おかし....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
お髪の伸びたのさえ、かえって貴う拝まれまする。どうぞ、その御回向を黒門の別宅で、
近々として進ぜて下さりませぬか。…… もし、鶴谷でもどのくらい喜びますか分りま....