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近付く
「近付く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
近付くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
翁は眼を細めて 「山近し、山近し」 と呟いた。 その言葉は、翁が福慈神に
近付くとき胸に叫んだと同じ言葉ではあるが、翁はただ呟いただけで山に急ぐこころは無....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ると思っちゃいないよ。易いだ。未来を卜すには、これに限るよ」 やがて、十二時が
近付くにつれ、しいんとなってくる。おそらく、動物富籖をもたぬものは一人もあるまい....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
に見えぬ糸に操られるかのように、ヨロヨロとよろめきながら、やっとその椅子の傍まで
近付くと、崩れるように、その上に腰を下ろした。 「……」 「さア、いいかね、星宮....
「地中魔」より 著者:海野十三
すよ。フフフ」 こんな会話をしながら三吉は歩いて廻った。しかし三吉が室町方面に
近付くに従って、彼の顔はひきしまってきた。 「はてな」と彼は日本銀行の地下室でい....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
店の縄暖簾を分けあげた時に、暗い道路の向うからよろよろとやって来た男があったが、
近付くのを見ると女将はキャッと声を上げた。着物の前をはだけた中年の男で、顔中血だ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
じまったころ、おそらく追手のかかるマコンデとは反対に、いよいよ、|悪魔の尿溜へと
近付く密林のなかへ、心ならずも逃げこんで行くのだった。 密林はいよいよふかく暗....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ている。と、砂煙は竜巻のように虚空に渦を巻きながらドンドンこっちへやって来たが、
近付くままによく見れば砂煙ばかりが壁のように一町余も立ち続いているが人の姿はどこ....
「カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
いて泣いている細君らしい女の姿を、惨ましそうに覗き込んでいた。喬介は直ちに屍体に
近付くと、遺族に身柄を打明けて、原田喜三郎の検屍を始めた。地味な労働服を着た被害....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
、又となく華やかな、美くしいものに相違ないのである。所が、尾彦楼の中には、日没が
近付くにつれて、何処からともなく、物怯じのした陰鬱なものが這い出して来た。と云う....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
である。いわば地獄での仏である。彼は勇気を振り起こし、火の光の方へ走って行った。
近付くままによく見れば、そこは小広い部屋であって、一人の女が火を焚いている。打ち....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
あたって一点二点三点の灯が闇を縫ってユラユラ揺れたが次第にこっちへ近寄って来た。
近付くままによく見れば一挺の駕籠を真ん中に囲んだ二十人余りの武士の群れで、写山楼....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
げた。 馬は馴染の黒であった。つまり彼女が芸当をする時、時々乗った馬であった。
近付くままによく見ると誰やら馬の背にくくり付けられていた。それが恋人の伊太郎であ....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
ポストの側からだんだんこちらへやって来る! だが、不思議にもその双生児は、三人に
近付くに従って双生児からだんだん重なって一人になりはじめた。そして間もなく其処に....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
彼方の護謨林の中に幾個か張られた天幕の姿が白く光るのを見るようになった。自動車が
近付くに従って林の中から一行を迎える歓呼の声が聞こえて来た。純白の天幕を囲繞いて....
「月世界跋渉記」より 著者:江見水蔭
に応じて各自にハンケチを振った。 「博士だ※」 数万丈の谿谷に博士と再会
近付くのを見ると、いよいよ博士だ。二少年はバラバラと駆け出してその側によると、桂....