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「近視〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

近視の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
朱日記」より 著者:泉鏡花
「むむそう。」 と考えるようにして、雑所はまた頷く。 「手前、御存じの少々|近視眼で。それへこう、霞が掛りました工合に、薄い綺麗な紙に包んで持っているのを、....
西湖の屍人」より 著者:海野十三
つけた。ガタリという物音がして、西湖の空のあたりが、二つに裂けて倒れた。これは、近視眼の漢青年を利用したパノラマでしかなかったことが暴露されたのだった。 外に....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
う。色が牛乳のように白く、可愛いい桜桃のように弾力のある下唇をもっていて、すこし近視らしいが円らな眼には湿ったように光沢のある長い睫毛が、美しい双曲線をなして、....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
いた。それはおよそ復一の気持とは縁のない幸福そのものの図だった。真佐子はかなりの近視で、こちらの姿は眼に入らなかろうが、こちらからはあまりに毎日|見馴れて、復一....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
みで、その上には、芯の折れた鉛筆をつけたメモと、被害者が臥る時に取り外したらしい近視二十四度の鼈甲眼鏡、それに、描き絵の絹|覆をつけた卓子灯とが載っていた。近視....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
火が廻って、到頭隣家の二三軒までも焼落ちて了った。此晩の丸善の宿直が揃いも揃って近視鏡を用ゆる三名、寄宿の小僮が十名。唯った之ぎりの人数だから、近所の取引先きや....
地獄の使者」より 著者:海野十三
鹸の商標のように反りかえっていて、とびだしたような大きな目の上には、厚いレンズの近視鏡をかけていた。 だが、検事たちの前に立ったお末の態度はすこしもおどおどし....
花束の虫」より 著者:大阪圭吉
一人は夫の直介であると見、又も一人は水色の服を着た小柄な男と言明している通りに、近視眼じゃあないんだよ。そして而も、思い出し給え。夫人は、岸田直介との結婚前に、....
ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
た。 景子は切上げ時だと思って催促の眼ざしを宮坂の横顔に向けた。宮坂は度の強い近視眼鏡の奥で睫毛の疎い眼を学徒らしく瞑目していた。それが景子には老文豪の話を頭....
秋深き」より 著者:織田作之助
えていると、若い男がはいって来た。はれぼったい瞼をした眼を細めて、こちらを見た。近視らしかった。 湯槽にタオルを浸けて、 「えらい温るそうでんな」 馴々しく....
眼鏡」より 著者:織田作之助
三年生になった途端に、道子は近視になった。 「明日から、眼鏡を掛けなさい。うっちゃって置くと、だんだんきつく....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
津吉は今は恋人の生命を求むるのに急で、焦燥の極、放心の体でいるのであったが。 「近視の伜が遣りそうな事だわい。不埒ものめが。……その女は、そりゃ何だ。」 袴腰....
私の洋画経歴」より 著者:小野佐世男
いるジョセフ・フォン・スタンバーグの処女作、「救いをもとめる人」なぞも最早白髪に近視鏡をかける年老えるスタンバーグの近影を見て過ぎし日の感激が又新たになるのであ....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
交際した。然るに永見は首尾よく陸軍の試験に合格したが、二葉亭はその頃からの強度の近視眼のため不合格となった。(永見はその後参謀部の有数な秀才と歌われていたが、惜....
ひとりすまう」より 著者:織田作之助
るので、ぼくはそれを「眉をひそめる」という意味にとり、気になったが、それは彼女が近視であるためだった。その表情は彼女を非常に若々しく見せた。彼女はもう二十六歳だ....