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近路
「近路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
近路の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仙人」より 著者:芥川竜之介
てから、
「いかがでしょう? 先生。仙人になる修業をするには、どこへ奉公するのが
近路《ちかみち》でしょう?」と、心配そうに尋ねました。
これには医者も困ったの....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
かえり》と見えて、荷物を斜《はす》に背中に背負って、頭からぐっしょり濡れながら、
近路《ちかみち》するために畑の中を歩いていた。それを見ると仁右衛門は「待て」とい....
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
なく答えるだろう。農家の門を外に出てみるとはたして見覚えある往来、なるほどこれが
近路《ちかみち》だなと君は思わず微笑をもらす、その時初めて教えてくれた道のありが....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
の二股坂と言うのは、山奥で、可怪《あやし》い伝説が少くない。それを越すと隣国への
近路《ちかみち》ながら、人界との境《さかい》を隔《へだ》つ、自然のお関所のように....
「党生活者」より 著者:小林多喜二
はその時苦い顔を私に向けた……。 帰りは表通りに出て、円タクを拾った。自動車は
近路をするらしく、しきりに暗い通りを曲がっていたが、突然|賑《にぎ》やかな明るい....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
床几には二十四、五の小粋な女が腰をかけていた。女は茶店の男にむかって、黒磯へゆく
近路を訊いている。あるいてゆく積りらしい。 まあ、ともかくも行ってみようかと独....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
浪の音も聞えませぬ。それでいて――寂然として、海ばかり動きます耳に響いて、秋谷へ
近路のその山づたい。鈴虫が音を立てると、露が溢れますような、佳い声で、そして物凄....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
・又本来の意味でのジャーナル的・批判的・な学術の統制は、だから最も受け取り易い接
近路として、言論統制の形で以て現われて来る。〔機関説〕問題などは元来が純学術上の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
で行ったが、二階のあの角の座敷に行くには、一度、三階へ上って、それから下った方が
近路だと気がつくと、そのまま三階へ上ってしまいました。 しかし、まだ名乗り合っ....
「放生津物語」より 著者:田中貢太郎
漢に帯の端を掴まれていた。お勝は牧野の家を出て帰りかけたところで、月が明るいので
近路をして草原の中を通って来ると、其処の松の陰にその暴漢が待っていた。 小格子....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
静かにあゆびなよ そんなに急《せ》かずとも おくれはしないよ もうあとが二里だよ
近路《ちかみち》をせずと 館山大路《たてやまおおじ》を 真直ぐにあゆびなよ そら....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
しの行く手をふさいでいるのを見た。亡者は足が速く、一般の苦力さえも知らないような
近路をして走り廻る。私はもう一度大きい声を立てて笑ったが、なんだか気違いになりそ....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
」 イバンスは憤怒の朱を満面にそそいでいった。 「ゆこう」 五人はまっすぐに
近路から走った、だがそれはすでにおそかった。海蛇は次郎を小わきにかかえて洞のなか....
「女の怪異」より 著者:田中貢太郎
ほっとした。菊江はこの数年来の不景気のために建物の塞がらない文化住宅の敷地の中を
近路して来たところであった。 微曇のした空に月があって虫の音が一めんにきこえて....
「日本橋附近」より 著者:田山花袋
も不可能であったのであった。私は書生時代にいつも橋のこっちの袂から四日市の方へと
近路をして抜けて行ったが、その時分の雑踏はとてもお話にならないものだった。まごま....