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返る
「返る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
返るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
墨色《ぼくしょく》を弁じていた。私は折々書見の眼をあげて、この古ぼけた仏画をふり
返ると、必ず※《た》きもしない線香がどこかで※《にお》っているような心もちがした....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
にいる悪魔でも、――」
「大いなるパンは死にました。いや、パンもいつかはまたよみ
返るかも知れません。しかし我々はこの通り、未だに生きているのです。」
オルガン....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
ない。現に一度なぞは玉のような顔が、ちらりとそこに見えたように思う。が、急にふり
返ると、やはりただ幕ばかりが、懶《ものう》そうにだらりと下《さが》っている。そん....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
まり罪な事をするのは御止しなさいよ。」
「かまうものか。己《おのれ》に出でて己に
返るさ。おれの方ばかり悪いんじゃない。」
牧野は険《けわ》しい眼をしながら、や....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
。それを下から刎《は》ね上げた、向うの軍刀の鋼《はがね》である。その音が煮えくり
返るような周囲の騒ぎの中に、恐しくかんと冴《さ》え渡って、磨いた鉄の冷かな臭《に....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
っかり感心も出来ません、二三歩先に立った宿の主人は眼鏡《めがね》越しに我々を振り
返ると、いつか薄笑いを浮かべているのです。
「あいつももう仕かたがないのですよ。....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
おもむろ》に彼をつつんで来るのを意識した。このかすかな梅の匂につれて、冴《さえ》
返る心の底へしみ透って来る寂しさは、この云いようのない寂しさは、一体どこから来る....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
。すると「おい」と云う父の声が、突然彼の耳を驚かした。彼は倉皇《そうこう》と振り
返る暇にも、ちょうどそこにあった辞書の下に、歌稿を隠す事を忘れなかった。が、幸い....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
くなった。女連れの客が立った後には、硝子の花瓶にさした菜《な》の花ばかりが、冴え
返る食堂車の中にかすかな匂を漂わせている。本間さんは白葡萄酒の杯を勢いよく飲み干....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
合はだね。……」
宮本は小さい黒板へ公式らしいものを書きはじめた。が、突然ふり
返ると、さもがっかりしたように白墨《はくぼく》の欠《かけ》を抛《ほう》り出した。....
「白」より 著者:芥川竜之介
花壇へ飛びこんだのもあります。白は二三間追いかけた後《のち》、くるりと子犬を振り
返ると、叱《しか》るようにこう声をかけました。
「さあ、おれと一しょに来い。お前....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
の音か、それとも谷川の水の音か、凄《すさま》じくざっと遠近《おちこち》に煮えくり
返る音があった。が、彼の心の中には、それよりもさらに凄じく、寂しい怒が荒れ狂って....
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
った。彼女は夫の袂《たもと》を引き、「あら、あなた、鼠が」と言った。が、夫はふり
返ると、ちょっと当惑らしい表情を浮べ、「どこに?……気のせいだよ」と答えたばかり....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
|後《うしろ》から、誰とも知れず、声をかけて、斬りつけたものがある。驚いて、振り
返ると、その拍子にまた二の太刀が、すかさず眉間《みけん》へ閃《ひらめ》いた。その....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
と帰り始めたとお思い下さい。勿論その時分乗りものが有ろう筈もない。 然るに湧き
返る青年達の血潮は玄海灘から吹きつける肌寒い夜風位いには驚きません。歌論は歌論へ....