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「返辞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

返辞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
葉子は倉地がまた歯に衣《きぬ》着せた物の言いかたをすると思うとかっと腹が立って返辞もしなかった。 「葉ちゃん。おれは女のきげんを取るために生まれて来はせんぞ。....
星座」より 著者:有島武郎
学資を出しそうなものだ。ひとつ校長の方からでもかけ合ってもらうのが得策だろうとの返辞だったと父は言った。 そこに母が前掛についた米の粉をはたきながらはいってき....
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
ると、 「君茶がさめるからやってくれ給え。オイ早く持ってこないか」 家中静かで返辞の声もない。岡村は便所へでもゆくのか、立って奥へ這入って行った。挨拶などは固....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
てもくよくよして、人の眼にもとまるほどであるから、時々は物忘れをしたり、呼んでも返辞が遅かったりして、母の疳癪《かんしゃく》にさわったことも度々あった。僕が居な....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
なくおとよさんは、風呂の前へきて小声で「今晩は」という。省作はちょっと息つまって返辞ができないうちに、声かすかに、 「お湯がぬるくありませんか」 「ええ」 「少....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
たまらないものである。 「おとよさんおとよさん」 呼ぶのは嫂お千代だ。おとよは返辞をしない。しないのではない、できないのだ。何の用で呼ぶかという事は解ってるか....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
で、阿Q事件の判決文を調べてもらうより外はなかった。そうして一個月たってようやく返辞が来たのを見ると、判決文の中に阿 Quei の音に近い者は決して無いという事....
明日」より 著者:井上紅梅
晩になって帰って来た。棺桶はすぐに仕事に掛らせたから夜明け前に出来上って来るとの返辞。 番頭さんが帰って来た時には、世話人の飯は済んでいた。前にも言った通り七....
狂人日記」より 著者:井上紅梅
つもりだ。 「うまく行ったかえ」 彼はいけないと思っているのだろう。あいまいの返辞をした。 「いけ……」 「いけない? あいつ等はもう食ってしまったんだろう」....
」より 著者:井上紅梅
前さん、それで誰の病気をなおすんだね」 と老栓は誰かにきかれたようであったが、返辞もしなかった。彼の精神は、今はただ一つの包(饅頭)の上に集って、さながら十世....
孔乙己」より 著者:井上紅梅
な乞食同様の人から試験を受けるのがいやさに、顔を素向けていると、孔乙己はわたしの返辞をしばらく待った後、はなはだ親切に説き始めた。 「書くことが出来ないのだろう....
風波」より 著者:井上紅梅
上に腰を卸すと、六斤はそれをいいしおにして彼のそばに馳け寄り、お父さんと言ったが返辞もしない。 「代々落ち目になるばかりだ」九斤老太はまた同じことを言った。 ....
村芝居」より 著者:井上紅梅
、友達が、「君、どうしたんだえ」とわたしのあとから跟いて来た。 「なぜ行くのだ。返辞をしたまえな」 「いやどうも失敬、なんだかドンドンガンガンして、君のいうこと....
キド効果」より 著者:海野十三
ってある三つの曲線図を、一列にキチンと並べられた。 「はア――」 丘助手は頓に返辞もなりかねて、図面の上に視線のいなずまを降らせた。 (測定者・木戸とあるから....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
な御遠慮はいりませんよ。水ものですもの、何方だって……。』 漁史は、これには、返辞無かりし。船頭は急病人の看護者の如く、暫く其の側を離れざりしが、『また幾らも....