追出[語句情報] »
追出
「追出〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
追出の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
入《はい》ったりした。仁右衛門夫婦の嗅《か》ぎつけない石炭酸の香は二人を小屋から
追出してしまった。二人は川森に付添われて西に廻った月の光の下にしょんぼり立った。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
さんに岡惚をしているのでも可い。河野に添わせるくらいなら、貴郎の令夫人にして私が
追出される方がいっそ増だ、とまで極端に排斥する。 この異体同心の無二の味方を得....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
、他のものなら珍らしゅうござりませぬ。この児に限って、悪戯をして、課業中、席から
追出されるような事はあるまいが、どうしたものじゃ。……寒いで、まあ、当りなさいと....
「海底都市」より 著者:海野十三
ロの棚をつくり、その棚の先から下へ壁深さ五十キロのをおろし、そして中の海水を外へ
追出してしまうのです。すると、それだけの海溝が乾あがってわれわれ人間が潜水服など....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
らも、止むを得ん凶事で二度だけは開けんければならんじゃった。が、それとても凶事を
追出いたばかりじゃ。外から入って来た不祥はなかった。――それがその時、汝の手で開....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
なれば、自分は、葬式の送迎、墓に謡を手向きょう、と人々と約束して、私はその場から
追出された。 あとの事は何も知らず、その時から、津々浦々をさすらい歩行く、門附....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
もあるまい。夜あそびをはじめて、ぐれだして、使うわ、ねだるわ。勘当ではない自分で
追出て、やがて、おかち町辺に、もぐって、かつて女たちの、玉章を、きみは今……など....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
と関着いたの。 するとお祖父さんのお計らいで、私が乳放れをするとすぐに二人とも
追出して、御自分で私を育てて、十三の時までお達者だったが、ああ、十四の春だった。....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
あ。いつもねえことにどうしただ。お前様婚礼の晩床入もしねえでその場ッからこっちへ
追出されて、今じゃ月日も一年越、男猫も抱かないで内にばかり。敷居も跨がすなという....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
諧謔の調を帯びたが、小松原はただ生真面目で、 「どうかそうしてくれたまえ。ここを
追出されたればといって、二度とあすこへ行って寝る気はしない。どうも驚いた。」 「....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
の間もね、先生、お聞きなさいまし。そういう風だから山手も下町も、千住の床屋でまで
追出されやあがって、王子へ行きますとね、一体さきさき渡がついてるだけにこちとらの....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
逗子、鎌倉、大磯ね。国府津辺まで、それまでに荒しゃあがったんでね、二度目に東京を
追出てもどこへ行っても何でしょう、おかみさん。 (は、愛吉か、きなッくさい。) ....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
クホクしながら、「こらこら、畳の上が泥になる、」と細い眼をして叱りつけ、庭先きへ
追出しては麺麭を投げてやった。これが一日の中の何よりの楽みであった。『平凡』に「....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
し、自分の物だからといって多年辛苦を侶にした社員をスッポかして、タダの奉公人でも
追出すような了簡で葉書一枚で解職を通知したぎりで冷ましているというは天下の国士を....
「活人形」より 著者:泉鏡花
抱き合いつつ泣きいたりしを、得三に認められぬ。言語道断の淫戯者片時も家に置難しと
追出されんとしたりし時、下枝が記念に見たまえとて、我に与えし写真あり。我はかの悪....