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「退く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

退くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
。が、今兵衛を打たなければ、またどこかへ立ち退《の》いてしまう。しかも海路を立ち退くとあれば、行《ゆ》く方《え》をつき止める事も出来ないのに違いない。これは自分....
金将軍」より 著者:芥川竜之介
ないくさ》、始めて至り、大唐の船師と合戦《たたか》う。日本《やまと》利あらずして退く。己酉《つちのととり》(二十八日)……さらに日本《やまと》の乱伍《らんご》、....
或る女」より 著者:有島武郎
を縫って走る時には、それが自分の痛みが形になって現われたように見えた。少し痛みが退くとほっと吐息《といき》をして、助けを求めるようにそこに付いている医員に目です....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
君の父上が、まず囲炉裏のそばに床をとらして横になる。やがて兄上と嫂とが次の部屋に退くと、囲炉裏のそばには、君と君の妹だけが残るのだ。 時が静かにさびしく、しか....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
、そしてそれを心から恐れるようになってはいたのだ。だから私は私の属していた団体を退くと共に、それまで指導を受けていた先輩達との直接の接触からも遠ざかり始めた。 ....
春昼」より 著者:泉鏡花
った。 戸張を垂れた御廚子の傍に、造花の白蓮の、気高く俤立つに、頭を垂れて、引退くこと二、三尺。心静かに四辺を見た。 合天井なる、紅々白々牡丹の花、胡粉の俤....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
侍女六人、斉しくその左右に折敷き、手に手に匕首を抜連れて晃々と敵に構う。 外道、退くな。(凝と視て、剣の刃を下に引く)虜を離した。受取れ。 侍女一 鎧をめしたば....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
)と尋ねるとの。 ここだ!」 と唐突に屹と云う。 「ええ何か、」と訓導は一足退く。 宰八は委細構わず。 「手毬の消えたちゅうがよ。(ここに確に置いたのが見....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
指のみ、両方親骨にちらりと白い。 また川口の汐加減、隣の広間の人動揺めきが颯と退く。 と見れば皎然たる銀の地に、黄金の雲を散らして、紺青の月、ただ一輪を描い....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
沈んだが、通る声で、 「私……行燈だよ。」 「わい、」と叫んで、饂飩屋は舞台を飛退く。 十一 この古行燈が、仇も情も、赤くこぼれた丁子のごとく、....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
振って、 「原稿料じゃ当分のうち間に合いません。稿料|不如傘二本か。一本だと寺を退く坊主になるし、三本目には下り松か、遣切れない。」 と握拳で、猫板ドンとやっ....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
側へ辷って出ると、呼吸を凝して二人ばかり居た、恐いもの見たさの徒、ばたり、ソッと退く気勢。 「や。」という番頭の声に連れて、足も裾も巴に入乱るるかのごとく、廊下....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
独で笑いながら、耳を澄したけれども沙汰がない、時計の音が一分ずつ柱を刻んで、潮の退くように鉄瓶の沸え止む響、心着けば人気勢がしないのである。 「可笑しいな、」と....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
あわれまれよ。)と痩法師が杖に縋って、珠数まで揉みながら、ずッと寄ると――ついと退く。……端折った白脛を、卯の花に、はらはらと消し、真白い手を、衝と掉って押退け....
式部小路」より 著者:泉鏡花
しく顰んで、熟と小首を傾けたり。はてこの様子では茶も菓子もと悟ったが、そのまま身退くことを不得。もう一呼吸ずるりと乗出し、 「何、また何でさ、私どもが、しばらく....