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「退散〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

退散の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
聞いて駆けつけた私どもと出会いましたから、その場で面々御褒美を頂いた上、こそこそ退散致してしまいました。 十六 さて若殿様は平太夫《へいだ....
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
手も利《き》かないのを見ると、手荒に玄関の格子戸《こうしど》をしめ、やっと門外に退散した。自分はこの時こう云う寄附には今後断然応ずまいと思った。 四人の客は五....
将軍」より 著者:芥川竜之介
喚《よ》び起した。 「万歳! 日本《にっぽん》万歳! 悪魔降伏。怨敵《おんてき》退散《たいさん》。第×聯隊万歳! 万歳! 万々歳!」 彼は片手に銃を振り振り、....
疑問の金塊」より 著者:海野十三
渡り、暗い公園を脱け、この山下町に入りこんで来ても、この執念深い尾行者たちは一向退散の模様がないのである。 腕の夜光時計を見ると、問題の十一時にもう間もない。....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
、味方戦闘機が出動したが間に合わず、高射砲もさっぱり当たらなかった。敵機は悠々と退散した。白い飛行雲をうしろに引きながら。 ◯こんなことになったのも、サイパン島....
奇賊悲願」より 著者:海野十三
ったり倒れて動かなくなった。――貫一は、ざまを見やがれと捨台辞を残して、その場を退散した。 烏啼の館に、尊い仏像は三体も集った。 「異ったことはなしか、今夜は....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
わさば聞し召せ、かくの通りの青道心。何を頼みに得脱成仏の回向いたそう。何を力に、退散の呪詛を申そう。御姿を見せたまわば偏に礼拝を仕る。世にかくれます神ならば、念....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
要らぬと言えば、黙然で、腰から前へ、板廊下の暗い方へ、スーと消えたり……怨敵、退散。」 と苦笑いして、……床の正面に火桶を抱えた、法然天窓の、連の、その爺様....
海の使者」より 著者:泉鏡花
えたが、上へ引く雫とともに、つるつると辷って、もう何にもなかった。 「鮹の燐火、退散だ」 それみろ、と何か早や、勝ち誇った気構えして、蘆の穂を頬摺りに、と弓杖....
星女郎」より 著者:泉鏡花
る。寝てから膚を見たは慄然とする……もう目前へちらつく、独の時なら鐸を振って怨敵退散と念ずる処じゃ。」 「聞きようが悪い、お先達。私が一ツ部屋にでも臥ったように....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
いか。「人を何だと思っていやがるんだえ」 阿Qはこういう種々の妙法を以て怨敵を退散せしめたあとでは、いっそ愉快になって酒屋に馳けつけ、何杯か酒を飲むうちに、ま....
多神教」より 著者:泉鏡花
に寝はせまい。目ともろともに、手も足も舞踊ろう。 「遣るべい、」「遣れ。」「悪魔退散の御祈祷。」村人は饒舌り立つ。太鼓は座につき、早や笛きこゆ。その二、三人はや....
三枚続」より 著者:泉鏡花
い。謂う処に依れば才子に思うさま煽がせさえすれば、畳に生した根も葉も無く、愛吉は退散しそうに見える。 按ずるに煽ぐという字は火偏に扇である、しかればますます奴....
式部小路」より 著者:泉鏡花
のあった日から泊りがけに成田へ行っていた男だけれど、申訳を脊負って立って、床屋を退散に及ぶというなら、可々心得た。御近所へ義理は済む。) と、くだらねえじゃあ....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
りに、仄かに輝きそめた夕月が見えたりする。人々は名残惜しい焚火と別れて散り散りに退散する。細雨をくだした秋天がいつの間にか晴れ渡っていたのである。 夕山風が古....