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退潮
「退潮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
退潮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「たき火」より 著者:国木田独歩
潮風に騒ぐ、その根かたには夜半《よわ》の満汐《みちしお》に人知れず結びし氷、朝の
退潮《ひきしお》に破られて残り、ひねもす解けもえせず、夕闇に白き線を水《み》ぎわ....
「業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
におくれたが、迚《とて》も此処じゃア死《しね》ねえから吾妻橋から飛込むから、今は
退潮《ひきしお》か上汐《あげしお》か知らないが、潮に逆らっても吾妻橋まで来て待っ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
メールストレームの渦がある。メッシナ海峡にはカリブジスがあるね。しかしそういう、
退潮と逆潮とでできる海流の渦のような気流は、残念なことにあの上空にはない。きっと....
「忘れえぬ人々」より 著者:国木田独歩
ているばかりで、見たところ畑もなく家らしいものも見えない。しんとしてさびしい磯の
退潮の痕が日に輝って、小さな波が水際をもてあそんでいるらしく長い線が白刃のように....
「メールストロムの旋渦」より 著者:佐々木直次郎
度をもってロフォーデンとモスケーとのあいだを陸に向って奔流す。されどその激烈なる
退潮時の咆哮にいたりては、もっとも恐ろしき轟々たる大瀑布も及ぶところにあらず、―....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
学主義の素地を有ったものは極めて多かったと見なければならぬ。そこで進歩的な動向の
退潮期に這入ると、忽ちにしてその地金を現わしたのがこの文学主義運動なのだ。そこで....
「現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
の文化事情は根本的に一変したという風に普通は考えられている。所謂「マルクス主義の
退潮」・「ファッショ・イデオロギーの進出」なるものがその現象だ。社会運動として云....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
ニヒリスティックな或いは又アナーキスティックな卓抜さがあるのであって、同じ思想の
退潮期の穴埋め材料としての宗教復興などに較べて、卑俗さが遙かに少ない所以なのであ....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
、マルクス主義が日本で有力となると忽ちマルクス主義者と名乗り、マルクス主義が所謂
退潮期に這入ったと世間で云い出す時には、すでにマルクス主義反対者の口吻を以て語り....
「現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
ことになったのである。 政治団体乃至思想団体の統一運動は、大体からいって一種の
退潮期の現象だと見ていい。尤もただの
退潮期ならば、支離滅裂的に分裂して消滅するだ....
「死体の匂い」より 著者:田中貢太郎
ていた。私は中央の車道を通りながら、神田川の口の手前になった岸の方に眼をやった。
退潮の赤濁のやや減った水際に二三の死体らしい物が漂うていた。私は足を止めて注意し....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
図に記してあるよりも水が深いと言ったけれども、ジョンは一度も躊躇しなかった。 「
退潮で底がぐうっと洗い流されてるんだよ。」と彼は言った。「で、この水路はまあ言わ....
「科学的精神とは何か」より 著者:戸坂潤
反科学的・態度との、鮮かな対立が現われるのを見ることが出来るだろう。思い上ったの
退潮後退が、文献精神・引用精神・をば非科学的・反科学的・にするのだ。引用精神の独....
「飛沙魚」より 著者:佐藤垢石
みの鰒である。 東京近くでは、千葉県の西端の浦安海岸に飛沙魚はいくらでもいる。
退潮時に浜を覗くと干潟の泥のなかに群れをなして遊んでいるが、人間が近づくと、ぴょ....
「チェーホフ試論」より 著者:神西清
フ的マルクス主義と、この二つのいずれもロシア現実から遊離した革命思想が、一は漸く
退潮し、一は漸く興ろうとしてまだ姿をあらわさぬ空白の時代であった。これを反対側か....