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逃
「逃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
逃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
》の背中をたたいて、云いつけました。
この声に胆をつぶして、一目散に土蜘蛛は、
逃げ出そうとしましたが、もうその時は間に合いません。「噛め」はまるで電《いなずま....
「河童」より 著者:芥川竜之介
のうちに僕は飛び立つが早いか、岩の上の河童へおどりかかりました。同時にまた河童も
逃げ出しました。いや、おそらくは
逃げ出したのでしょう。実はひらりと身をかわしたと....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
、ただその時刻だけであった。甚太夫は本望《ほんもう》を遂《と》げた後《のち》の、
逃《の》き口《くち》まで思い定めていた。
ついにその日の朝が来た。二人はまだ天....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
――」
ひどく厭な気がしていた彼は金口を灰に突き刺すが早いか、叔母や姉の視線を
逃れるように、早速長火鉢の前から立ち上った。そうして襖《ふすま》一つ向うの座敷へ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
ょうどホテルの給仕などの長靴《ながぐつ》を持って来るのと同じことである。半三郎は
逃げようとした。しかし両脚のない悲しさには容易に腰を上げることも出来ない。そのう....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
羽虫《はむし》の群《む》れを追いかけていた。が、それも僕等を見ると、すぐに向うへ
逃げて行ってしまった。
僕は下駄だけは脱いだものの、とうてい泳ぐ気にはなれなか....
「運」より 著者:芥川竜之介
ん》の手にでもかかろうものなら、どんな目に遭《あ》うかも知れませぬ。
「そこで、
逃げ場をさがす気で、急いで戸口の方へ引返そうと致しますと、誰だか、皮匣《かわご》....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
です。 遠藤はとうとうたまり兼ねて、火花の旋風に追われながら、転げるように外へ
逃げ出しました。 三 その夜の十二時に近い時分、遠藤は独り婆さんの家....
「狂女」より 著者:秋田滋
かり考えていた。 兵士たちは一体あの女をどうしたのだろう。森をこえて、あの女は
逃げたのだろうか。誰かがどこかであの狂女をつかまえて、彼女の口からどこのどういう....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
んと人も疑わざりしを、深沢が見咎めて糺せば詞窮して担いかけし障子|襖を其所へ捨て
逃げ去りしなりというに、東京という所の凄じさ、白昼といい人家稠密といい、人々見合....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
著名な画家がおった。ナポレオンの肖像を画いたこともある人で、フランスの政変のため
逃げて来たのである。ファラデーはこの人の部屋の掃除をしたり、靴を磨いたりしたが、....
「寡婦」より 著者:秋田滋
秋のことでした。狩猟に招かれて来ていたド・グラデルという若い男が、その娘をつれて
逃げてしまいました。 ド・サンテーズさんは、何事もなかったように平然とした容子....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
り、こだまとなって尾をひき、怒ったように鳴りひびくのだった。世の中の騒がしさから
逃れ、わずらわしいことばかり多かった人生の余暇を静かに夢みながら暮すことができる....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
いつまでも起きていた、誰も寝ようとしなかった。自分たちの手からあんなに永いあいだ
逃げていた幸福、その幸福をようやく捕えたのである。この幸福が、眠っている間に、ま....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
は、鋏、小さな爪切鋏を手にとり、おもむろにのどを三ヶ所切った。小鳥は口を開いて、
逃げようともがいたが、私はしっかりつかまえていた。私は、それが怒り狂うブルドッグ....