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逃れ
「逃れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
逃れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
女に、心中をしてくれと云われて弱った覚《おぼえ》もある。とうとう一寸《いっすん》
逃れを云って、その場は納まったが、後で聞くとやはりその女は、それから三日ばかりし....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ょうにのまれざるはあらず》』と説かせられた。恐らくはわれらが恋も、この掟ばかりは
逃れられまい。ただいつ始まっていつ終るか、予が気がかりなのはそれだけじゃ。」と、....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
つまり懐郷の悲しみは、自分の憂鬱の全部ではない。自分はただこの国から、一日も早く
逃れたい気がする。しかし――しかしこの国の風景は美しい。気候もまず温和である。…....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
――」
ひどく厭な気がしていた彼は金口を灰に突き刺すが早いか、叔母や姉の視線を
逃れるように、早速長火鉢の前から立ち上った。そうして襖《ふすま》一つ向うの座敷へ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
まみれながら、ほとんど高這《たかば》いをしないばかりに、蹌踉《そうろう》と部落を
逃れて行った。
彼が高天原《たかまがはら》の国をめぐる山々の峰を越えたのは、ち....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
力を記述している。実際我我は何かの拍子に死の魅力を感じたが最後、容易にその圏外に
逃れることは出来ない。のみならず同心円をめぐるようにじりじり死の前へ歩み寄るので....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
た。彼れはとうとう女を抱きすくめて道路に出た。女は彼れの顔に鋭く延びた爪をたてて
逃れようとした。二人はいがみ合う犬のように組み合って倒れた。倒れながら争った。彼....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
中に十六歳の秋が来て、フランシスの前に懺悔をしてから、彼女の心は全く肉の世界から
逃れ出る事が出来た。それからの一年半の長い長い天との婚約の試練も今夜で果てたのだ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
告されたが、際どくもユーボェア(〔Eubo:a〕)のカルキス(Chalkis)に
逃れることを得て、そこに流謫の余生を送り六三歳で死んだ(紀元前三二二年)。神々の....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
下を泡だった水が黒く流れて行く。たったいま目が覚めて、大いそぎで暖かい国をさして
逃れて行くようだ。沢を登って石楠花を見た時は、なんだか嬉しかった。山岳気違いの証....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
がったんだ。 じりじりと板挾みにする様に照り付けて居た暑さがひるみそめて、何処を
逃れて来たのか、涼しい風がシャツの汗ばんだ処々を撫でて通った。 其の晩だ、寝ず....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
何にもない。自分を自由に扱うことのできるよろこびの快い気持に浸ったのは、このまま
逃れようと決心した瞬間だけであった。今日まで一日だって明るい気持ちになったことは....
「「別居」について」より 著者:伊藤野枝
ということにも、苦痛を感ぜずにはいられませんでした。私はその二つの苦痛から同時に
逃れようとしました。しかしそれにはあまりいろいろな情実が隙間なくからみついていま....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
秀と云う画師の運命だった。それから……僕は巻煙草をふかしながら、こう云う記憶から
逃れる為にこのカッフェの中を眺めまわした。僕のここへ避難したのは五分もたたない前....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
り、こだまとなって尾をひき、怒ったように鳴りひびくのだった。世の中の騒がしさから
逃れ、わずらわしいことばかり多かった人生の余暇を静かに夢みながら暮すことができる....